名探偵たちの競演する本格ミステリを発表

USA マリオン・マナリング
(Marion Mainwaring)

殺人混成曲
「殺人混成曲」
(1954年)
(早川書房)

 アメリカの女流本格ミステリー作家。翻訳者および評論家としても活動しているほか、「無垢の時代」('20)で女性として初めてピュリッツァー賞を受賞したアメリカの女流作家イーディス・ウォートン(Edith Wharton 1862-1937)の未完作品を補筆完成させたことで最もよく知られています。

 それ以外についての詳しい経歴は女流作家によくあるように明らかにされておらず、判明しているのは大学で英文学の教鞭を執り、出版関係の仕事に就いていた事ぐらいです。

 ミステリー作家としては1953年に大学を舞台にしたオーソドックスな本格ミステリ「Murder at Midyears」でデビューを果たしますが、この作品は地味な評価に止まります。しかし続けて翌1954年に発表した第2長編「殺人混成曲」はその興味深い趣向から大変な評判となり、この一冊でミステリの歴史に名を残しています。

 この「殺人混成曲」には、ネロ・ウルフ、エラリイ・クイーン、ペリイ・メイスン、マイク・ハマー、ピーター・ウイムジイ卿、アプルビイ警部、エルキュール・ポアロ、ロデリック・アレン、そしてミス・シルヴァーという、ミステリ・ファンなら誰もが知っている9人の有名な名探偵たちがパロディで登場し、大西洋横断の豪華客船上の殺人事件をめぐり各々が推理を展開していきます。

 そしてそれに合わせるように邦訳も都筑道夫氏の総合プロデュースにより9人の翻訳者を各探偵に割り当てるという贅沢な趣向が凝らされており、ミステリ・ファンであれば是非チェックしておきたい作品の一つといえるでしょう。


■作家ファイル■

出身地
アメリカ
生没
1922年~
作家としての経歴
1953
カレッジを舞台にしたミステリ長編「Murder at Midyears (中間試験の殺人)」でデビュー
1954
エルキュール・ポアロ、エラリイ・クイーン、ネロ・ウルフといった有名な名探偵9人が登場するパロディ長編「殺人混成曲」を発表し、一躍注目を集める
1993
ピュリッツァー賞も受賞しているアメリカの有名な女流作家イーディス・ウォートンの未完作品「Buccaneers」を補筆完成
シリーズ探偵
なし
代表作
「殺人混成曲」

■著作リスト■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Murder at Midyears
(中間試験の殺人)
1953 -
2 殺人混成曲 1954 HPB482

【共著】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Buccaneers 1993 - イーディス・ウォートンの未完作品を補筆完成

【エッセイ・評論その他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Matthew Arnold's influence and reputation as a literary critic 1949 -
2 Notes toward a Matthew Arnold bibliography 1952 -
3 Mord bland experter 1955 -
4 John Quincy Adams and Russia 1965 -
5 Mysteries of Paris: The Quest for Morton Fullerton 2001 -

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