UK ウィリアム・モール
(William Mole)

ハマースミスのうじ虫
「ハマースミスのうじ虫」
(1955年)
(東京創元社)

 イギリスの詩人で推理小説家。スコットランドの准男爵の家に生まれ、最初は詩人として活躍。1935年に本名で処女詩集「Madonna and other Poems」を発表したのを皮切りに、第二次世界大戦を挟んで3冊の詩集を発表しました。

 第二次世界大戦が終わり1950年代に入ると、今度はウィリアム・モールの筆名を使って第二次世界大戦の体験に基づくルポルタージュ風の長編小説を2冊発表した後、1955年に初のミステリ長編である「ハマースミスのうじ虫」を発表しますが、好奇心の強い主人公のキャソン・デューカーの目を通してなされる人間観察の模様が淡々と語られるその作風は、当時の読者に新鮮かつ鮮烈な印象を与え、各方面からも絶賛を浴びたといいます。

 そして更に同じデューカーを主人公とする2作品を発表してこれらも好評を得ますが、惜しくも1961年に40代の半ばという若さでこの世を去りました。

 ちなみに主人公のデューカーはぶどう酒商人ですが、本人もワインに関する造詣はかなり深かったらしく、彼の没後にワインに関する本も出版されています。


■作家ファイル■

本名
ウィリアム・アントニー・ヤンガー (William Anthony Younger)
出身地
イギリス、スコットランドのモーファットにあるオーヘン城主サー・ウィリアム・ヤンガー准男爵の孫として生まれる
生没
1917年~1961年
作家としての経歴
1935
本名で処女詩集「Madonna and other Poems」を発表し、その後第二次世界大戦を挟んで3冊の詩集を発表
1952
第二次世界大戦の体験を元に「Trample an Empire」という小説を発表。翌年にももう一冊の小説を発表
1955
初のミステリ長編「ハマースミスのうじ虫」を発表し、好評を得る
シリーズ探偵
ぶどう酒商人アリステア・キャソン・デューカー (Alistair Casson Duker)
代表作
「ハマースミスのうじ虫」

■著作リスト■

1 アリステア・キャソン・デューカー登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ハマースミスのうじ虫 1955 創元推理文庫161-2
東京創元社 クライム・クラブ23('59)
東京創元社 世界名作推理小説大系23('61)
2 さよならの値打ちもない 1956 東京創元社 クライム・クラブ25('59)
3 Skin Trap
(米 You Play for Pity)
(皮膚の罠)
1957 -

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Trample an Empire 1952 -
2 The Lobster Guerillas 1953 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Angelus
アンジェラスの鐘
1935 朝日ソノラマ文庫「13人の鬼遊び」('85) ウィリアム・アントニー・ヤンガー名義、デビュー作

【詩集】

すべてウィリアム・ヤンガー名義

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Madonna and other Poems 1935 - 自費出版
2 Inconstant Conqueror 1938 -
3 The Dreaming Falcons 1944 -
4 The Singing Vision 1946 -
5 Orpheus. Selected Poems 1939-1960. 1985 - 没後出版のアンソロジー

【ノンフィクション】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Blue Moon in Portugal 1956 - ウィリアム&エリザベス・ヤンガー名義、旅行記
2 Gods, Men and Wine 1966 - ウィリアム・ヤンガー名義
ワイン関連書

【参考】「ハマースミスのうじ虫」(東京創元社 創元推理文庫)
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