百万長者のセシル・サロルド
(Cecil Thorold)

　イギリスの文豪アーノルド・ベネットの短編集「都市の略奪品・ファンタジア」に登場するキャラクター。

　「都市の略奪品・ファンタジア」（1905）は〈楽しみを追求する百万長者の冒険譚〉という副題の通り、暇を持て余した若いディレッタントのセシル・サロルドが、ヨーロッパの大都市から遠くサハラ砂漠にまで足を伸ばし、各地を漫遊しながら遊び半分に金を巻き上げたり、騙し取ったり、時には悪人を懲らしめながら金儲けをしたりするという痛快な物語集です。

　主人公のセシル・サロルドはニューヨーク生まれの若き百万長者で、彼の大名旅行にお供するのが、執事のレッキーと美人記者のフィンカッスル嬢で、これに女優のキティと劇場支配人のライオネル・ベルモントの二人が絡んで、道中様々な事件が発生します。

　この短編集はクイーンの定員にも選ばれていますが、クイーンをして「犯罪学者と興行師とロビン・フッドの結合」であり、その性格付けは「非常に興味深い」と言わしめた個性溢れるキャラクターです。