詐欺師のプリンス
イギリスの小説家グラント・アレンの生み出した変装の名人にして稀代の詐欺師。怪盗小説の嚆矢とされているシリーズです。
1896年6月から〈ストランド・マガジン〉誌に1年間に渡って12話が掲載され、その翌年、義賊ラッフルズに先立つこと2年前に、グラント・リチャーズ社から「アフリカの百万長者」として単行本化されました。
元蝋人形師で粘土(クレイ)のように造作を思いのまま自由に変えられる変幻自在の顔を持つ変装の名人で、リヴィエラでの初登場後、チロル、スコットランド、フランス、更には大西洋上の豪華客船からニューヨークへと所を変え品を変え、遊び半分に盗んだり、かすめたり、詐取したりして神出鬼没の大活躍を見せてくれます。
彼の標的となるのが〈アフリカの百万長者〉ことチャールズ・ヴァンドリフト卿で、クレイ大佐を追って秘書の「私」とともに手に汗握る追跡劇が展開されて行きます。
本国でも長らく絶版だったようですが、1982年に同短編集の復刻版が刊行されています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | アフリカの百万長者 | 1897 | 論創社 論創海外ミステリ100('12) | クイーンの定員21 | |
1 | メキシコの千里眼 (メキシコの予言者) |
1896 | 早川文庫87-1「シャーロック・ホームズのライヴァルたち1」('83) | ||
2 | ダイヤモンドのカフリンクス (ダイヤのカフスボタン) |
創元推理文庫104-28「完全犯罪大百科/上」('79) 光文社文庫「クイーンの定員 I」('92) EQ'83.3(32) |
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3 | レンブラントの肖像画 | ||||
4 | チロルの城 | ||||
5 | ドロー・ゲーム | ||||
6 | ドイツ人の教授 | ||||
7 | クレイ大佐の逮捕 | ||||
8 | セルドン金山 | 1897 | |||
9 | 漆塗りの書類箱 | ||||
10 | ポーカー勝負 | ||||
11 | ベルティヨン法 | ||||
12 | 中央刑事裁判所 |
【参考】「シャーロック・ホームズのライヴァルたち1」(早川書房 ハヤカワミステリ文庫)