少女探偵 ジュディ・ボルトン
(Judy Bolton)

　アメリカの女流児童小説家マーガレット・サットンの生み出した少女探偵。

　ジュディはルールスビルの町医者の娘で、初登場時は高校２年生。ブルネットのよく似合うどこにでもいそうな冒険好きで明朗活発、好奇心の強い少女ですが、そんな彼女が生まれ故郷の小さな町で起きるいかにも小さな事件を家族や友人の助けも借りてひたむきに解決していく姿がアメリカの同世代の少女たちの心を捉えて、1932年の第１作の発表から30年以上に渡って絶大な支持を集めました。

　活発で勇気がありどんな問題にも負けずに頑張れる行動力、正義感が強く短気ではあるものの自分が間違っていると気付けば素直に謝れる誠実さ、そしてどんな人間にも気さくに話しかけ仲良くなろうとする心優しさを持っていて、それに加えて抜群の推理力とくれば同世代の少女の理想の友人像とされるのも頷けます。

　また子供たちのことをよく理解している優しい両親、気は弱いが思いがけない気転を利かせて事件解決に役立つ兄のホーレス、子供の頃からの遊び友達でファリンドン大学で法律の勉強をしているピーターと、ジュディを支える魅力的なサブキャラクターの存在も見逃すことができません。

　他方ミステリとしても一級品で、物語は変化に富み、スピーディーでスリルに溢れたストーリー展開が読む者を飽きさせません。ミステリとしても人間ドラマとしても楽しめる、そんな所が人気の秘密と言えるでしょう。

　アメリカで好評だったこの少女探偵ジュディ・シリーズですが、日本にも1960年代に入ってからいくつかの作品が邦訳され、キャロリン・キーンの〈少女探偵ナンシー・ドルー〉シリーズとともに金の星社の少女・世界推理名作選集で数多くの作品が紹介されています。

　何度か再刊された後、しばらくは新刊では手に入らず図書館で読むことができるという状態が続きましたが、1998年からナンシー・ドルー・シリーズとともに少女・世界名作選集の８作品のうち６作品がフォア文庫に収録され、新刊で手軽に読むことができるようになったのは喜ばしいことです。