UK アーサー・モリスン
(Arthur Morrison)

マーチン・ヒューイットの事件簿
「マーチン・ヒューイットの事件簿」
(東京創元社)

 イギリスの小説家。アーサー・コナン・ドイルが発表し爆発的な人気を集めたシャーロック・ホームズが「最後の事件」で姿を消した後、その後釜としてマーチン・ヒューイットを主人公とする短編推理小説シリーズを〈ストランド・マガジン〉に連載したのが、何を隠そうこのモリスンでした。

 ちなみに本人は元々ジャーナリストで、推理小説の執筆はあくまでも余技として考えていたようですが、現在ではヒューイット譚の作者として記憶されているようです。
このあたりも本当は歴史・冒険小説の分野で認められたかったというホームズの作者ドイルと似ています。

 またモリスンはヒューイット探偵の他にホーレス・ドリントンというキャラクターも生み出していますが、このキャラクターはいわゆるシリーズ・クリミナルで、最初期の犯罪者キャラクターとして歴史に名前を残しています。

 このホーレス・ドリントンが活躍する作品としては1897年の短編集「The Dorrington Deed-Box」があります。

緑のダイヤ
「緑のダイヤ」
(1904年)
(東京創元社)

 他にも著書として戯曲やロンドンの貧民窟を舞台としたニューリアリズム小説「ジェイゴウの子供」(1896)なども発表していて高い評価を受けています。

 また東洋美術の研究・収集家でもあったらしく、「日本の画家」(1911)という浮世絵の研究書も出版しています。

 モリスンの著書は、現在は推理小説を含めてその他の著作のいずれもが本国イギリスでも手に入りにくい状況だそうです。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、イングランドのケント州
生没
1863年11月1日~1945年12月4日(82歳)
作家としての経歴
1894
ライヘンバッハの滝壺に姿を消したホームズに代わり、〈ストランド・マガジン〉にヒューイットものの短編を連載開始
その後ヒューイットものの全4編の短編集を発表
シリーズ探偵
保険調査員マーチン・ヒューイット (Martin Hewitt)
悪徳探偵ホーレス・ドリントン (Horace Dorrington)
代表作
【マーチン・ヒューイット】
「レントン館盗難事件」「ディクソン魚雷事件」
【ノンシリーズ】
「緑のダイヤ」

■著作リスト■

1 マーティン・ヒューイット登場作品リスト

2 悪徳探偵ホーレス・ドリントン登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Dorrington Deed-Box
(Ward, Lock & Bowdon)
1897 -
1 The Narrative James Rigby
黒手組余話
探偵春秋'37.7
2 The Case of Janissary -
3 The Case of the Mirror of Portugal -
4 The Affair of the Avalanche Bicycle & Tyre Co., Ltd -
5 日本古美術収集家殺し   早川文庫87-2「シャーロック・ホームズのライヴァルたち2」('83)
6 Old Carter's Money -

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Hole in the Wall 1902 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Tales of Mean Streets 1894 -
1 Lizerant -
2 Without Visible Means
一文なし
河出書房「世界100物語3 巧みな物語」('96)
3 To Bow Bridge -
4 That Brute Simmons
人非人
探偵趣味'27.8
5 Behind the Shade -
6 Three Rounds -
7 In Business -
8 The Red Cow Group -
9 On the Stairs
階段の上
桜華社「短篇小説読本1輯」('43)
10 Squire Napper -
11 "A Poor Stick" -
12 A Conversion -
13 "All That Messuage" -
2 緑のダイヤ
(緑色ダイヤ)
(十一の瓶)
1904 東京創元社 世界大ロマン全集4('56)
探偵倶楽部'53.5-'54.1
博文館 世界探偵小説全集8「モリスン集」('29)
博文館文庫67('39)
博文館 探偵傑作叢書31('24)
新青年'22.8増刊
連作短編集
1 第一のマグナム
2 ノリイ氏のマグナム
3 クリフトン氏のマグナム
4 ボーイ長のマグナム他
5 プリのマグナム
6 不思議な小箱
7 スミスのマグナム
8 緑のダイヤモンド
3 Diver's Vanities 1905 -
1 Chance of the Game -
2 Spotto's Reclamation -
3 A "Dead 'Un" -
4 The Disorder of the Bath -
5 His Tale of Bricks -
6 Teacher and Taught -
7 A Blot in St. Basil -
8 One More Unfortunate -
9 Ingrates at Bagshaw's -
10 Rhymer the Second -
11 Charwood with a Number -
12 A Poor Bargain -
13 Statement of Edward Chaloner -
14 Lost Tommy Jepps -
15 The Legend of Lapwater Hall -
16 The Black Badger -
17 The Torn Heart -
4 Green Ginger 1909 -
1 A Skinful of Trouble -
2 The Absent Three -
3 The Stolen Blenkinson -
4 Cap'en Jollyfax's Gun -
5 Snokey Timms, His Mask -
6 The Copper Charm -
7 Dobb's Parrot -
8 The Seller of Hate -
9 The Rodd Street Revolution -
10 The Chamber of Light -
11 Mr. Bostock's Backsliding -
12 The House of Haddock -
13 A Lucifo Match
スリと奇術師
新青年'34夏季増刊
14 Arts and Crafts -
15 Wick's Waterloo -
16 The Drinkwater Romance -
5 Fiddle O'Dreams and More 1933 -
1 Mr. Walker's Aeroplane -
2 Lies Unregistered -
3 Fiddle o'Dreams -
4 A Proffessional Episode -
5 Bylestones -
6 The Four-Want Way -
7 A Return to the Fancy -
8 The Thing in the Upper Room -
9 Myxomycetes -
10 Sports of Mugby -
11 Frenzied Finnance -
12 Billy Blenkin's Radium -
13 Infantry at the Double -
14 The East a'Callin -
15 Brothers at Bay -

【アンソロジー・オムニバス】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Short Stories of Today and Yesterday 1929 - 上記短編集からの選集

【戯曲】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 That Brute Simmons 1906 - 短編集1所収の同名作品の一幕劇
2 Dumb Cake 1907 - 短編集3からの一幕劇

3 ミステリ以外の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 A Child of the Jago
(ジェイゴウの子供)
1896 - ニューリアリズム小説
2 To London Town 1899 -
3 Cunning Murrell 1900 - 歴史小説

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Shadows Around Us 1891 -
2 Zig-Zags at the Zoo 1894 -

【美術研究書】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Exhibition of Japanese Prints 1909 -
2 Exhibition of Japanese Screens 1910 1910 -
3 Painters of Japan
(日本の画家)
1911 -
4 Exhibiton of Japanese Screens 1912 1912 -
5 Exhibiton of Japanese Screens 1914 1914 -
6 Catalogue of an Exhibition of Engravings in Colour by Hiroshige -
7 Guide to an Exhibition of Japanese and Chinese Paintings -

【参考】「マーチン・ヒューイットの事件簿」(東京創元社 創元推理文庫)
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