アメリカのハードボイルド作家で、世界的に人気を集めた赤毛の私立探偵マイケル・シェーンの生みの親。
少年時代を西部開拓時代末期のテキサスで過ごしていましたが、14歳の時に家を飛び出し、年齢を偽って陸軍騎兵隊に入隊します。
除隊後は高校を卒業し建築現場や油田などで働き、間もなくインディアナ州のトリ・ステート・カレッジで土木工学を修め、それからしばらくはエンジニアや測量技師として活躍していました。
作家活動を始めたのは1927年頃だったらしく、その後10年に渡ってマシュー・ブラッドやアンソニー・スコットなど複数のペンネームを使ってミステリから恋愛もの、冒険ものからウエスタンまで、様々なジャンルの小説をパルプ・マガジンに書きまくっていたといいます。
やがて1939年になると、ハリデイ名義としては第1作目となる「死の配当」でマイケル・シェーンがデビューしますが、この作品が大人気を集めて一躍人気作家の仲間入りを果たします。そして以後は年2冊のペースでこのシリーズを書き続けました。
また1956年からは自らが主催する〈マイク・シェーン・ミステリ・マガジン〉を創刊し、自らもマイケル・シェーンものの中編を発表。この雑誌は彼の死後も続刊され人気を集めました。
テンポの良いストーリー展開と細切れな断片が結末に向かって収束していくプロットの巧みさが〈マイケル・シェーン〉シリーズの人気の秘密で、シリーズの人気ぶりは何度も映画やTVドラマ化され、1958年にハリデイ自身が執筆活動から退いた後も約20年に渡ってゴーストライターの手で続けられたことからも窺い知れます。
彼の最初の夫人はミステリ作家として有名なヘレン・マクロイですが、二人は共同執筆でミステリ批評を担当し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の評論賞を共同で受賞しています。
日本国内でも数多くの邦訳がなされていますが、最初の邦訳作品となった「夜に目覚めて」には何と著者ハリデイ自身が作中にミステリ作家として登場しており、殺人事件に巻き込まれてシェーンに助けられるというユニークな設定で読者を楽しませてくれます。
アザ・ベイカー(Asa Baker)名義
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Mum's the Word for Murder | 1938 | - | |
2 | The Kissed Corpse | 1939 | - |
マシュー・ブラッド(Matthew Blood)名義(ライアスン・ジョンスン(Walter Ryerson Johnson)との合作)
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Avenger | 1952 | - | |
2 | Death Is a Lovely Dame | 1954 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Before I Wake | 1949 | - | ハル・ディブレット(Hal Debrett)名義、キャサリン・ローリンズ・ドレッサー(Kathleen Rollins Dresser)との合作 |
2 | A Lonely Way to Die | 1950 | - | |
3 | Charlie Dell (Time to Remenber) |
1952 | - | アンダースン・ウェイン(Anderson Wayne)名義 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Woman Are Poison 女は魔もの (女には毒がある) |
1936 | 別冊宝石77('58) HMM'77.11 |
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2 | 死刑前夜 (処刑前夜) |
1938 | HPB1819「天外消失 世界短篇傑作集」 早川書房 世界ミステリ全集18「37の短篇」('73) |
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3 | Piece of Silver 数枚の銀貨 |
1946 | EQMM'62.1 | |
4 | Big Shot 大立物 |
1947 | EQMM'60.10 | |
5 | Extradition 逃亡犯罪人引渡し法 |
1948 | EQMM'58.11 | |
6 | You Kill Elizabeth エリザベスの死 |
1951 | ヒッチコックマガジン'62.11 | |
7 | Second Honeymoon 二度目の蜜月 |
1959 | EQMM'59.10 | |
8 | I'm Tough おれはタフ |
1962 | 荒地出版社「年刊推理小説・ベスト18(1963年版)」 | ディヴィス・ドレッサー名義 |
9 | Murder with Music 鳴りやまないラジオ |
HMM'94.4 | 犯罪実話 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 20 Great Tales of Murder | 1951 | - | ヘレン・マクロイとの共編 |
2 | Dangerous Dames | 1955 | - | |
3 | Big Time Mysteries | 1958 | - | |
4 | Murder in Miami: Mike Shayne Selects Ten Cases of Top Mystery Writers | 1959 | - | |
5 | 年刊推理小説・ベスト20〈1962年版〉 | 1961 | 荒地出版社('61) | |
6 | 年刊推理小説・ベスト18〈1963年版〉 | 1962 | 荒地出版社('63) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | マイク・シェーンとわたし (マイケル・シェーンと私) (マイク・シェーンと私) |
早川文庫65-1「死の配当」 HPB625「金髪の罠」 HMM'77.5 |
エッセイ |