幻想作家として有名なベルギーの作家
ベルギーで最も著名なファンタジー・幻想作家。ジャン・レーとも表記。
イギリスとベルギー間を往復する航路の船乗りであった父の影響を受けて15歳の時から自らも船員としてヨーロッパやアジア、南北アメリカ大陸などの世界中の各地を転々とし、様々な土地で様々な経験を積んでいきます。
1929年になると海上生活を終えてヨーロッパに戻り、ロッテルダムでジャーナリストとして活躍を始め、その後執筆活動も開始。同年に発表した四次元を舞台とした処女短編「パウケンシュラーガー博士の異常な研究」で世間の注目を集めます。
以後は冒険・海洋・幻想・SFそしてミステリと、幅広い分野にまたがる作風で、長編「マルペルチュイ」やその他数多くの短編を発表します。特に船員としての経験が活かして海上での怪奇現象を扱った作品を得意としているようです。
そしてこれらの短編群は「幽霊の書」「新カンタベリー物語」「ウィスキー奇譚」などの短編集にまとめられて、彼の代表作として高い評価を得ています。
その一方で1930年頃から、〈アメリカのシャーロック・ホームズ〉といわれる名探偵ハリー・ディクソンの活躍するジュヴナイル・ミステリー・シリーズも手がけ、雑誌掲載の形で178作品を発表。このシリーズはフランス語圏の子供たちの間で爆発的な人気を集め、毎回発売日を待ちかねた子供たちがキオスクを取り巻いたというエピソードも残っているそうです。
この〈ハリー・ディクソン・シリーズ〉が生れたきっかけは、彼がドイツ語の探偵・冒険小説の翻訳の仕事を頼まれていた時にそれらの作品を読み、これくらいなら自分でも書けると考え、当時絶大な人気のあったイギリスのシャーロック・ホームズに見習って〈アメリカのシャーロック・ホームズ〉という触れ込みでこのハリー・ディクソンを作り上げたといいます。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | マルペルチュイ | 1943 | 月刊ペン社 妖精文庫19('79) | ジャン・レー |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | ウィスキー奇譚集 | 1925 | 白水社('89) | ||
1 | わが友は死者 | ||||
2 | 手 | ||||
3 | カンバーウェルの夜 | ||||
4 | ハーバートの幸運 | ||||
5 | フェン地方の沼沢地で | ||||
6 | ホワイト・チャペルのお伽話 | ||||
7 | 真夜中 | ||||
8 | 猿 | ||||
9 | 怪物たちの窓 | ||||
10 | 午前零時二十分 | ||||
11 | 白い悪魔 | ||||
12 | 墓守の供述 | ||||
13 | 善行 | ||||
14 | 絵の話 | ||||
15 | 見捨てられた天文台 | ||||
16 | パウケンシュレーガー博士の奇怪な研究 | ||||
17 | ギュンペルメイヤーの負債 | ||||
18 | 夜中のハビッシュ氏 | ||||
2 | Le Grand Nocturne | 1942 | - | ||
3 | 新カンタベリー物語 | 1944 | 創元推理文庫539-1 | ジャン・レー | |
幻想風前口上 | |||||
1 | アイリッシュ・シチュー | ||||
2 | ボンヴォワザン嬢の婚礼 | ||||
3 | タイバーン | ||||
4 | ガラハー氏、家へ帰る | ||||
5 | あたくし、ヘル・ハーゼンフラッツを捜してます! | ||||
6 | タイバーン続話 | ||||
7 | マイユー親爺 | ||||
8 | バラ色の恐怖 | ||||
9 | ユユー | ||||
10 | 世界一美しい女の子 | ||||
11 | サロメの踊り | ||||
12 | セプチマス・カミンの被昇天 | ||||
13 | フリンダーズ河 | ||||
14 | フォルスタッフ、昔を思い出す | ||||
15 | 殺された猫 | ||||
16 | リード・アンサンク | ||||
17 | 揣摩憶測のために | ||||
4 | 幽霊の書 | 1947 | 国書刊行会('79) | ジャン・レー | |
1 | 私の幽霊─赤いスカーフの男 | ||||
2 | 売家 | ||||
3 | シュークルート | ||||
4 | ペントンヴィルの夜 | ||||
5 | マーシャル・グローヴの話 | ||||
6 | ティモシュース叔父の真相 | ||||
7 | ケーニッヒシュタインにおける夜のロンド | ||||
8 | 徒弟パスルゥ | ||||
9 | 通り | ||||
10 | 後日譚 | ||||
5 | Les 25 meilleures histoires noires et fantastiques | 1961 | - | ||
6 | Le carrousel des malefices | 1964 | - | ||
7 | ゴルフ奇譚集 | 1964 | 白水社('85) | ||
1 | 決勝は七十二ホールで | ||||
2 | マブゼの《ゴルフをする人》 | ||||
3 | クラブ・ハウスの孤独 | ||||
4 | ミス・アンドレット・フロジェ | ||||
5 | 影響 | ||||
6 | 夜鷹のボール(ザ・ナイトジャー・ボール) | ||||
7 | 木の兵隊の行進 | ||||
8 | 「ミジェット大佐のハザード | ||||
9 | スウィング | ||||
10 | ゴルフ・リンクスの殺人者 | ||||
11 | 帰ってきたゴルファー(亡霊の棲むグリーン) | ||||
12 | 大熊座 | ||||
13 | 《白鷲》の幸運 | ||||
14 | オールディスト・メンバー | ||||
15 | EG-1405号 | ||||
16 | 盗まれるボール | ||||
17 | マドローナの森(私はすべてを語ろう…) | ||||
18 | ヘカテ(冥府の女王) | ||||
19 | ラム小父さん(ジーン・クレイバー事件) | ||||
20 | 最期(アンハッピー・エンド) | ||||
21 | 七番ホール | ||||
22 | 謎の女 | ||||
23 | ホール・イン・ワン | ||||
24 | 黄金のドライバー | ||||
25 | ロッカー・ルーム(ある気難しい観察者の回想) | ||||
26 | DIPクラブの秘密 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 黒天使 | 1921 | HMM'09.7 | |
2 | 墓地の管理人 | 1934 | 早川文庫 NV232「ドラキュラのライヴァルたち」('80) | |
3 | Gouden Tanden 金歯 |
早川書房 異色作家短編集20「エソルド座の怪人─アンソロジー/世界篇」('07) | ||
4 | Mery-Go-Round メリーゴーランド |
HMM'77.8 |