ジョン・リーバス警部
(Inspector John Rebus)

　イギリスの小説家イアン・ランキンの生み出したスコットランドのエジンバラ市を舞台に活躍する警察官探偵。
　初登場作では若い刑事でしたが、その後は50歳を過ぎた初老の刑事として再登場を果たし、エジンバラの荒れた場末の警察署に転勤して捜査活動に明け暮れる毎日です。

　彼は独走型の捜査手法で自分がとことん満足するまでは決して捜査を止めることはなく、上司や権力、闇の組織を恐れない大胆不敵さを持っていますが、その半面、犯罪捜査を単なる仕事として割り切ったり、他人事として見過ごすことのできない性格で、誰よりも被害者の無念さに思いを馳せ、汚職を憤り、部下にひそやかな心遣いを見せる繊細な心も同時に合せ持っています。

　また結婚し一女をもうけますが、現在は既に離婚していて娘とも別れて暮らす孤独な日々を送っており、それらの人生における矛盾や葛藤が原因で、彼は時に不眠に苦しみ、大好きなロックンロールを一晩中聴き続けたり、また酒やタバコが手放せないという精神的な弱さも垣間見せるのですが、それがエジンバラの陰鬱な風景と相俟って現代生活に疲れた読者に何ともいえない共感を与えてくれます。

　ちなみに著者のランキンもロックファンであり、長時間のドライブや不眠症に悩まされているそうで、これらは著者自身を投影した設定とのことです。

　またリーバス警部の年齢設定はランキンの姉が基準となっていて、名前の「リーバス」は第１作長編のタイトル「判じ絵」という意味もあるという興味深いエピソードもあります。