ずば抜けた頭脳を持つ青年
アイルランド出身でファンタジーの巨匠として名高いロード・ダンセイニの短編集で、クイーンの定員にも選ばれた「二壜の調味料」収録の全26編のうち9編に登場する青年紳士。
このリンリーのシリーズでは調味料のセールスマンとして各地を旅するスミザーズ氏が助手役兼物語の語り手となり、ふとしたことからロンドンのフラットに同居することとなったずば抜けた頭脳の持ち主である青年リンリーが警察の依頼を受けて難事件の捜査を始め、その優れた思考能力で謎を解き明かしていく姿を描いていきます。
二人の出会いのきっかけは奇妙な味の傑作として名高い最初の短編「二壜の調味料」の中でリンリーが大学を卒業して間もない頃ロンドンで2、3か月暮らしてみたいとフラットを探していた所、スミザーズ氏も初めて職を得てロンドンで住む部屋を探していて、たまたま同じ部屋の紹介主の所にやって来たことからでした。
一緒に暮らしてみるとパッとしない小男のスミザーズはリンリーの軽業師のように鍛え抜かれ、鳥のように敏捷な頭脳、そして頭の中から絶えず湧き出てくるアイデアと他人のアイデアを掴み取る鋭い直感力にただただ感服させられます。そしてある日新聞で読んだアザーソープのアンジ村で起きたぞっとするような殺人事件の話をリンリーにしたことから、物語は大きく展開していきます。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 二壜の調味料 | 1952 | HPB1822 | リンリー&スミザーズもの9編他 全26編 クイーンの定員109 |
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1 | 二壜の調味料 (ニ壜のソース) (二本の調味料壜) |
1932 | 創元推理文庫100-3「世界短編傑作集3」('60) 新潮文庫「16品の殺人メニュー」('97) 東京創元社 世界推理小説全集50「世界短篇傑作集1」('57)) |
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2 | スラッガー巡査の射殺 | ||||
3 | スコットランド・ヤードの敵 | ||||
4 | 第二戦線 | ||||
5 | 二人の暗殺者 | ||||
6 | クリークブルートの変装 | ||||
7 | 賭博場のカモ | ||||
8 | 手がかり (推理) |
EQMM'63.9 | |||
9 | 一度でたくさん | ||||
10 | 疑惑の殺人 | 以降非リンリーもの | |||
11 | 給仕の物語 | ||||
12 | 労働争議 | ||||
13 | ラウンド・ポンドの海賊 | ||||
14 | 不運の犠牲者 | ||||
15 | 新しい名人 (新しい主人) |
EQMM'60.3 | |||
16 | 新しい殺人法 | ||||
17 | 復讐の物語 | ||||
18 | 演説 | 創元推理文庫104-24「ミニ・ミステリ傑作選」 EQMM'58.7 |
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19 | 消えた科学者 | ||||
20 | 書かれざるスリラー | ||||
21 | ラヴァンコアにて | ||||
22 | 豆畑にて | ||||
23 | 死番虫 | ||||
24 | 稲妻の殺人 | ||||
25 | ネザビー・ガーデンズの殺人 (ネザビー・ガーデンの殺人) |
HMM'86.8 | |||
26 | アーテナーの楯 |