USA トレヴィス・タラント氏
(Mr. Tarrant)

タラント氏の事件簿
「タラント氏の事件簿」
(1935年)
新樹社)

 本格黄金時代の後期に活躍したアメリカの作家C・デイリー・キングの生み出した、不思議な謎の心惹かれる素人探偵。

 不可能犯罪がメインに扱われた本シリーズは12編の短編が書き上げられ、1冊の短編集(最初は1935年に8編の短編集として刊行)にまとめられていますが、エピソードが先に進むにつれてタラント氏や語り手のジェリー・フィランその他のキャラクターたちの人間関係が出来上がっていき、同時に絶えずそれが変化していくという凝った趣向が凝らされており、各短編の間に関連性がとても強く、どちらかというと連作短編集と言った方が正しいかもしれません。

 またタラントの執事兼相談役として日本人のキャラクターであるカトーがシリーズ・キャラクターとして登場しているのは、日本の読者にとっては嬉しいことで、それだけで思わず親しみを持ってしまう方も多いかと思われます。


■原作■

C・デイリー・キング
(Charles Daly King 米 1895-1963)


■人物ファイル■

好きな物
不可能犯罪
住居
ニューヨークのアパート(執事のカトーと一緒に住む)
協力者
執事兼相談役の日本人カトー
語り手のジェリー・フィランとその妻ヴァリー
ジェリーの妹メアリ
事件簿
全12短編に登場
他に未発表の長編が1作品あるとされている

■事件ファイル■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Episode of the Demoiselle D'Ys 未発表 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 タラント氏の事件簿
(せんさく好きなタラント氏)
1935 新樹社 エラリー・クイーンのライヴァルたち2('00) クイーンの定員91
1 古写本の呪い
(古典の呪詛)
新青年'36夏季増刊
2 現われる幽霊
(幻の触手)
新青年'37新春増刊
3 釘と鎮魂曲
(釘とレクイエム)
(釘と鎮魂歌)
光文社文庫「クイーンの定員 III」('92)
EQ'84.9
増刊宝石'55.6(10-9)
4 「第四の拷問」
5 首無しの恐怖
6 消えた竪琴
(消えたハープ)
EQ'85.11
7 三つ眼が通る
(第三の眼)
新青年'36.7
8 最後の取引
2 The Complete Curious Mr. Tattant 2003 - 短編集1の8編再収録を含む全12編
1 消えた美人スター
(三千マイルの密室)
1944 光文社文庫「世界ベスト・ミステリー50選/上」('94)
HMM'79.11
2 The Episode of the Sinister Inventor 1946 -
3 危険なタリスマン 1951 新樹社「これが密室だ!」('97) 本国では
ジェリー・フィラン名義
4 The Episode of the Absent Fish
タラント氏の釣果
1979 EQ81.11

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