ミステリーの雑誌


アームチェア・ディテクティヴ
(Armchair Detective)

■国籍:アメリカ

■刊行:1967年10月(季刊)~1997年秋休刊

■背景:
 書誌学者・評論家アレン・ヒュービンがミステリーの評論・研究を高めようと創刊したミステリーの評論・研究誌

■概要:
 主な内容は作家・作品研究、書誌・書評、作家へのロングインタビュー、ミステリー関連の映画やテレビ・ラジオ番組の時評など
 その外に絶版で読むことのできない古典的短編や埋もれた作品をリバイバル掲載
 資料的な価値が高くミステリーの総合研究誌として愛読された

アルフレッド・ヒッチコック・ミステリー・マガジン
(Alfred Hitchcock's Mystery Magazine)

■国籍:アメリカ

■刊行:1956年12月(年11回発行)~

■背景:
 当時人気を博していたテレビ番組「ヒッチコック劇場」の活字版を目指して発刊

■概要:
 「奇妙な味」を持つ人気作家の短編ミステリーを中心に掲載するほか書評やコラムも充実  レイ・ブラッドベリ、ロアルド・ダール、ロバート・ブロック、ヘンリー・スレッサーなどが作品を寄稿
 現在はスパイものからファンタジーやSF的なものまで、幅広いミステリー作品を掲載

■WEBサイト:http://www.themysteryplace.com/ahmm/

エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン
EQMM
(Ellery Queen's Mystery Magazine)

■国籍:アメリカ

■刊行:1941年12月(年11回発行)~

■背景:
 1930年代に刊行された雑誌「ミステリー・リーグ」の反省を活かし、クイーンの一人フレデリック・ダネイの編集で創刊

■概要:
 現存するミステリー雑誌の中で最も古い長寿雑誌
 編集方針として有名なミステリー作家の作品の掲載、文学性の高いミステリーの発掘、新人作家の積極的な登用を掲げる
 常連作家としてアイザック・アシモフ、スタンリー・エリン、エドワード・D・ホックなど
 初期は本格作品が多かったが、80年代に入ると私立探偵ものやサスペンス作品が主流に

■WEBサイト:http://www.themysteryplace.com/eqmm/

ストランド・マガジン
(Strand Magazine)

■国籍:イギリス

■刊行:1891年1月~1950年3月廃刊

■背景:
 大衆週刊紙「チット・ビッツ」で大成功を収めたジョージ・ニュウンズ卿が編集者のH・グリーンホウ・スミスの企画を取り入れて創刊

■概要:
 「6ペンスの値段で、中身は1シリング分の月刊誌」をキャッチフレーズに一般大衆誌として出発
 この雑誌を最も有名にしたのはコナン・ドイルが生み出した不世出の名探偵シャーロック・ホームズの短編を掲載したことで、1891年7月号に掲載した「ボヘミアの醜聞」など「シャーロック・ホームズの冒険」(1892)の収録短編をはじめ、その後のほとんどすべてのホームズものの長短編が同誌に掲載され爆発的な人気を集めました。
 他にもアガサ・クリスティーやドロシー・L・セイヤーズ、ジョルジュ・シムノンなどのミステリーの巨匠やトルストイやデュマ、モームなどの著名な文学畑の作家の作品も掲載するなどしましたが、第二次大戦後の紙のコスト高の影響を受けて廃刊。その後1998年に「ストランド・ミステリー・マガジン」として50年ぶりに再開されています。

■WEBサイト:http://www.strandmag.com/

ダイム・ディテクティヴ
(Dime Detective)

■国籍:アメリカ

■刊行:1931年11月~1953年8月廃刊

■背景:
 シカゴのポピュラー・パブリケーションズ社から発行されたパルプ・マガジン

■概要:
 初期はグロテスクな怪奇・幻想ものやヒーローが悪者を打ち負かす活劇ものの物語が多い
 1930年代半ば頃からC・J・デイリー、E・S・ガードナー、レイモンド・チャンドラーの作品などが掲載されるように

ブラック・マスク
(Black Mask)

■国籍:アメリカ

■刊行:1920年4月~1951年7月廃刊

■背景:
 当時人気雑誌だった「ディテクティヴ・ストーリー・マガジン」のライバル誌として創刊
 20世紀前半のアメリカ・ミステリー界を席巻しパルプ・マガジンの代表格に

■概要:
 ミステリーだけでなくアクション中心の西部劇や冒険小説、ファンタジーなども掲載
 1923年にC・J・デイリーが初のハードボイルド系私立探偵を登場させると、続けてダシール・ハメットがコンチネンタル・オプシリーズ最初の作品を発表するなど、ハードボイルドのジャンル発展に多大な功績
 その後もE・S・ガードナーやレイモンド・チャンドラーなどが作品を発表

■WEBサイト:http://www.blackmaskmagazine.com/

ベイカー・ストリート・ジャーナル
(Baker Street Journal)

■国籍:アメリカ

■刊行:
 1946年1月~1949年1月13号で廃刊
 1951年に復刊

■背景:
 1934年に設立されたシャーロキアンの団体「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」のホームズに関する研究を発表する場としてエドガー・W・スミスの編集で創刊

■概要:
 シャーロキアンのための季刊誌
 ヴィンセント・スターレット、アンソニー・バウチャー、オーガスト・ダーレスなどのホームズ学者が記事を執筆
 一度廃刊となったもののその後復刊され、世界のシャーロキアンに愛読されている

■WEBサイト:http://www.bakerstreetjournal.com/

ポラール
(Polar)

■国籍:フランス

■刊行:  1979年4月(21号で休刊)
 1982年1月22号~82年末に28号(ネオー社)
 1990年10月(季刊)~(リヴァージュ社)

■背景:
 フランソワ・ゲリフの編集で、レジャール・ドール社から発行されたミステリーの研究誌

■概要:
 初期はインタビューや未発表原稿、映画化された作品一覧、著作書誌などの欧米の推理作家の資料としての色合いが強い
 その他評論や映画、本、テレビ、マンガなどについての時評コラムなども連載

■WEBサイト:http://www.ours-polar.com/

マイク・シェーン・ミステリー・マガジン
(Mike Shayne's Mystery Magazine)

■国籍:アメリカ

■刊行:1956年9月(月刊→隔月刊)~1985年廃刊

■背景:
 私立探偵マイクル・シェーン・シリーズの生みの親ブレット・ハリデイによって創刊

■概要:
 創刊号から57年4月号までは「マイクル・シェーン・ミステリー・マガジン」という題号だった
 テレビドラマ化もされ人気の高かった同シリーズの中編作品が毎号読めるということで当時人気があった
 その一方でクレイグ・ライスやロバート・ブロック、ヘレン・マクロイといった一流作家たちの短編作品も掲載され雑誌の質は低くはない

マンハント
(Manhunt)

■国籍:アメリカ

■刊行:1953年1月(原則月刊→58年より隔月刊)~1967年4・5月号廃刊(全113号)

■背景:
 イーグル・パブリケーションズ社から発行された小型のパルプ・マガジン

■概要:
 最初の3号までは「マンハント・ディテクティブ・ストーリー・マンスリー」という題号だった
 当時大流行していたミッキー・スピレインの作品を連載したりするなどして高い人気を集め、一時は世界で最も売れる推理小説雑誌といわれる
 作品を発表した有名作家としてレックス・スタウト、ウィリアム・アイリッシュ、レスリー・チャータリス、レイモンド・チャンドラー、ロバード・ブロック、J・D・マクドナルド、エド・マクベイン、フレドリック・ブラウン、リチャード・S・プラザーなどがいる
 日本版「マンハント」も1958年8月に創刊し1963年7月まで刊行され、8月号から「ハードボイルド・ミステリィ・マガジン」と改題され64年まで半年間刊行された

ミステリー・シーン
(Mystery Scene)

■国籍:アメリカ

■刊行:1987年創刊(年5回発行)~

■背景:
 ミステリー作家のゴーマンとロバート・J・ランディージによって発刊

■概要:
 新刊紹介、作家インタビュー、評論、出版業界や専門書店のコラムなどが充実した情報誌
 かつてアメリカン・ミステリー賞を主催していた

■WEBサイト:http://www.mysteryscenemag.com/

ミステリー・リーグ
(Mystery League)

■国籍:アメリカ

■刊行:1933年10月~34年1月廃刊(全4号)

■背景:
 推理雑誌発行を夢見ていたエラリー・クイーンの編集で、シカゴのリーグ・パブリッシャーズ社から発行

■概要:
 創刊号には編集者のクイーン名義の短編や同じく別名のバーナビー・ロス名義の長編「レーン最後の事件」のほか、ハメットやセイヤーズの短編などを掲載するなど内容は充実していた
 ただし通常のパルプ・マガジンより大きめの判型で値段が25セントと比べて2.5倍ほど高かったこともあり、わずか4号で廃刊となる
 その後この雑誌の反省を活かし「エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン(EQMM)」が創刊される

メアリー・ヒギンズ・クラーク・ミステリー・マガジン
(Mary Higgins Clark Mystery Magazine)

■国籍:アメリカ

■刊行:1996年夏~2000年

■背景:
 サスペンス作家でメアリー・ヒギンズ・クラークと出版社のファミリー・サークルの共同発行

■概要:
 P・D・ジェイエムズ、ルース・レンデル、ローレンス・ブロックなど現在のミステリー界を代表する作家たちが寄稿

【参考】「海外ミステリベスト100」(ハヤカワミステリ文庫)
「世界の名探偵50人」(ワニ文庫)


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