マイケル・ボンド
(Michael Bond)

　イギリスの小説家で、古典的名作として知られる児童文学”くまのパディントン”のシリーズで世界中に愛されている作家です。

　イギリスのニューベリーに生まれ、少年時代はラジオの組立てや人形劇づくりに精を出し、その熱中ぶりは舞台セットまで自分で作り照明や回転ステージまで考案したほどだったといいます。

　14歳で中学を卒業した後１年間の法律事務所勤務を経て、見習い技師としてＢＢＣに入社。その後第二次世界大戦が勃発すると1943年に英国空軍の航空部隊に入隊。翌年から陸軍のミドルセックス連隊に所属し、45年にカナダで航空士訓練を受けたのち、中東に赴任しカイロで２年を過ごしました。

　そして従軍中の1945年に趣味で短編を執筆を始めると、雑誌記事など数多くの作品を書き、雑誌にも掲載されるなど好評を博します。その後はロンドンに戻り再びＢＢＣに入社。ドラマ脚本などが好評を博したことがきっかけで1965年に退職し作家活動に専念するようになるまでテレビ・カメラマンとして活躍しました。

　彼の代表作である児童書”くまのパディントン”は、ロンドンのパディントン駅で”遺失物”になっていたクマを主人公にしたシリーズで、彼の娘カレンが生まれた1958年に第１作が出版されていますが、これは1957年のクリスマスにロンドンの玩具店で妻へのクリスマスプレゼントにと買ったぬいぐるみのクマにちなんで書き上げられたもので、当時二人が住んでいた場所にちなんでパディントンと名づけられました。

　いつも傷んだ帽子を手放さず、マーマレード・サンドイッチが大好きで、やたらとトラブルに巻き込まれるものの持ち前の愛嬌で事件を解決するこの愛すべきキャラクターを主人公に据えた同シリーズは発表されるやいなや大好評を博し、絵本も含めて計70冊以上が発表され、20カ国以上で翻訳されています。累計の売上げは3000万部以上といわれ、アニメやキャラクターグッズもなり、大変な人気を集めています。

　パディントンシリーズのほかにも、モルモットのオルガ・ダポルガ、ネズミのサーズデイ、冒険好きのアルマジロのＪ・Ｄ・ボルソンなどの魅力的な動物たちを主人公にしたシリーズなどがあり、その一方でテレビの連続番組「ザ・ハーブズ」や「パセリの冒険」の脚本、更にはパディントンの映画のための脚本を２作手掛けています。

　また写真を撮るのが趣味で、大好きな国フランスをたびたび訪れており、その時の体験を元にして1983年からは元警視庁の刑事でグルメ・ガイドブックの覆面調査員パンプルムース氏とその愛犬で味にうるさい元警察犬のポムフリットの珍コンビを主人公に据えた、ユーモアたっぷりでちょっぴり大人向けなミステリー・シリーズも執筆しています。