全世界に一大センセーションを巻き起こしたハードボイルド界の風雲児
ミッキー・スピレーンとも表記。アメリカのハードボイルド作家で、一世を風靡したマイク・ハマー・シリーズの原作者として有名です。
ニューヨークのブルックリンに生まれ、ハイスクール時代からパルプ・マガジンを耽読し、自身も17歳で小説を書き始めます。そして大学を中退後第二次大戦になると陸軍航空隊に入り、少尉としてパイロットのトレーナーを務めます。
終戦後はサーカスのトランポリンを演じたり、麻薬捜査官として活躍、体に大きな傷を負ったこともあるそうです。
それから1947年になると、3週間で書き上げたという処女作にしてマイク・ハマー初登場作でもある長編「裁くのは俺だ」でデビュー。この作品には麻薬捜査官としての経験がふんだんなく活かされており、いわばマイク・ハマーは自身がそのモデルであったのでした。
ちなみに作家になろうとした動機は、黄金時代後期の作家ニコラス・ブレイク同様、土地を買うための費用や建築費をひねり出すためだったそうです。
〈マイク・ハマー・〉シリーズは、悪人を裁くためなら暴力も厭わないその内容から、処女作の発表も何社にも断られたり、批評家の間では批判の声も多く上がったりもしました。
その一方で、採用された出版社には破格の印税という待遇を受け、出版されるやいなや当時のアメリカで爆発的な売り上げを記録したといいます。まさしく人によって評価の大きく分かれるシリーズといえます。
他にも1951年に発表された「大いなる殺人」は、日本の翻訳ミステリに多大な貢献を果たしている早川書房のハヤカワポケットミステリの最初の刊行作品(101番)として歴史に名前を残す作品となっています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 銃弾の日 | 1964 | 早川文庫26-6 HPB909 |
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2 | 鮮血の日の出 | 1965 | 早川文庫26-7 HPB931 |
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3 | 死の狩人 | 1966 | HPB973 | |
4 | 殺戮へのバイパス | HPB1001 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 大いなる冒険 | 1979 | 晶文社 ヤング・アダルト図書館1('83) | ジュヴナイル |
2 | 大帆船タイガー号の謎 | 1982 | 晶文社 ヤング・アダルト図書館2('84) | ジュヴナイル |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 果された期待 | 1951 | 三笠書房 スピレーン選集4('59) 潮書房('56) 日本出版共同 ミッキー・スピレーン選集4('53) 田園書房 |
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2 | 縄張りをわたすな | 1961 | HPB683 | |
3 | The Delta Factor デルタ野郎 |
1967 | HPB1045 | |
4 | The Erection Set エレクション・セット |
1972 | HPB1251 | |
5 | The Last Cop Out | 1973 | - | |
6 | Something Down There | 2003 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | おれはやくざだ! | 1963 | HPB978 | ||
1 | おれはやくざだ! | 1959 | |||
2 | 蹴らずんば殺せ | 1961 | |||
3 | ドラゴン・レディとの情事 | 1962 | |||
2 | The Flier 七年目の殺し |
1964 | HPB1099 | ||
1 | The Flier カストロ・スパイ |
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2 | The Seven Year Kill 七年目の殺し |
1960 | |||
3 | Return of the Hood やくざの帰還 |
1964 | HPB1162 | ||
1 | Return of the Hood (The Big Bang) やくざの帰還 |
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2 | The Bastard Bannerman 私生児バナーマン |
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4 | Killer Mine 俺の中の殺し屋 |
1965 | HPB1113 | ||
1 | Killer Mine 俺の中の殺し屋 |
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2 | Death of the Too-Cute Prostitute (Man Alone) 孤独の男 |
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5 | Tomorrow I Die (明日よ、さらば) |
1984 | - | ||
1 | 掏摸 (手くせ) |
1954 | 三笠書房 スピレーン選集7「他国者は殺せ」('59) マンハント'58.9 |
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2 | Tomorrow I Die 明日よ、さらば |
1956 | HPB331「明日よ、さらば」 | ||
3 | The Gold Fever Tapes | 1973 | - | ||
4 | Sex Is My Vengeance 性はわが復讐 (性と復讐) |
1956 | 創元推理文庫135-2「スピレーン傑作集2 ヴェールをつけた女」('72) HPB331「明日よ、さらば」('57) |
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5 | Trouble... Come and Get It | - | |||
6 | Together We Kill: The Uncollected Stories of Mickey Spillane | 2001 | - | マックス・アラン・コリンズ&リン・メイヤーズ編 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 私は狙われている | 1954 | 三笠書房 スピレーン選集6('59) 日本出版共同 ミッキー・スピレーン選集6(1のみ)('54) 潮書房('56) 田園書房 |
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1 | 私は狙われている (狙われた男) |
1953 | 創元推理文庫135-1「スピレーン傑作集1─狙われた男」('71) | ||
2 | 垣の向うの女 (高嶺の花) (隣りの女) |
創元推理文庫135-1「スピレーン傑作集1─狙われた男」('71) マンハント'58.12 |
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2 | 明日よ、さらば | 1957 | HPB331 | ||
1 | Tomorrow I Die 明日よ、さらば (死ぬのは明日だ) |
1956 | 創元推理文庫135-1「スピレーン傑作集1─狙われた男」('71) | ||
2 | Sex Is My Vengeance 性と復讐 |
創元推理文庫135-2「スピレーン傑作集2 ヴェールをつけた女」('72) | |||
3 | 他国者は殺せ | 1959 | 三笠書房 スピレーン選集7('59) 田園書房 |
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1 | 他国者は殺せ | 1958 | |||
2 | 掏摸 (手くせ) |
1954 | マンハント'58.9 | ||
4 | スピレーン傑作集1 ─狙われた男 |
1971 | 創元推理文庫135-1 | ||
1 | 狙われた男 (私は狙われている) |
1953 | 三笠書房 スピレーン選集6「私は狙われている」('59) | ||
2 | 死ぬのは明日だ (明日よ、さらば) |
1956 | HPB331「明日よ、さらば」 | ||
3 | 最後の殺人契約 | 1960 | |||
4 | 高嶺の花 (垣の向うの女) (隣りの女) |
1953 | 三笠書房 スピレーン選集6「私は狙われている」('59) マンハント'58.12 |
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5 | 慎重すぎた殺人者 | 1952 | 犯罪実話 | ||
5 | スピレーン傑作集2 ─ヴェールをつけた女 |
1972 | 創元推理文庫135-2 | ||
1 | 立ち上がって死ね! | 1958 | |||
2 | ヴェールをつけた女 (うじ虫に愛されろ!) |
1952 | |||
3 | 殺しは二人で | 1953 | |||
4 | 性はわが復讐 (性と復讐) |
1956 | HPB331「明日よ、さらば」('57) |
【参考】「女体愛好クラブ」(早川書房 ハヤカワミステリ文庫)
「スピレーン傑作集1・2」(東京創元社 創元推理文庫)