恐怖小説の分野でも有名
ミステリーだけでなく怪奇・ホラー小説の分野でも有名なイギリスの作家。 英国国教会牧師サミュエル・ホジスンの次男としてエセックスで生まれ、13歳でリヴァプールに赴いて船乗りとなり、8年間で3度も世界中の海を周ったといいます。
そしてその間に培われた経験を元に1903年から海を舞台とした小説を書き始め、1904年に初めて短編が雑誌に掲載されたのを皮切りに作家活動を本格化。
1907年には処女長編でボーダーランド三部作の第1作目でもある「The Boats of the Glen Carrig」を刊行し、人気作家の仲間入りを果たすのでした。
やがて海上での生活を終えて結婚し、南フランスに住みますが、第一次大戦が始まると出征。ドイツ軍との戦争で数々の武功をたてますが、斥候の任務中に流れ弾を受けて戦没、享年41歳でした。
そんなホジスンの残した小説の中でミステリ・ファンの間で最も知られているのが、ゴースト・ハンターとして人気の高い〈カーナッキ〉のシリーズです。
このカーナッキが活躍する短編集「幽霊狩人カーナッキの事件簿」は〈クイーンの定員〉にも選ばれていて、ホームズのライヴァル期における数々の名探偵と同様に個性溢れるそのキャラクターが読者の人気を集めました。
他にも海洋小説など、海や未知の世界の恐怖を描く小説をその短い生涯の中でいくつか残しています。
その中でも日本では、短編「夜の声(闇の海の声)」を題材として作られた特撮映画の傑作『マタンゴ』の原作者として知られているようです。
また真相の解明ということにも熱心だったという彼は1902年10月、アメリカの奇術王ハリー・フーディニがイギリス巡業に来た際、縄抜け術を解明するため渾身の力でフーディニの体に縄を巻きつけ、悲鳴をあげさせたというエピソードも残っているそうです。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Boats of the Glen Carrig | 1907 | - | ホジスンの処女長編 |
2 | 異次元を覗く家 | 1908 | 早川文庫 SF58 | |
3 | The Ghost Pirates | 1909 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | ナイトランド | 1912 | 原書房('02) 月刊ペン社 妖精文庫15・16(上下)('80・'81) |
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2 | Poem and A Dream of X | - | ||
3 | Cargunka | 1914 | - | |
4 | Captain Gault | 1917 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | Men of the Deep Waters | 1914 | - | |
2 | The Luck of the Strong | 1916 | - | |
3 | Captain Gault | 1917 | - | |
4 | The House on the Borderland & Other Novels | 1946 | - | ボーダーランド三部作とナイトランドを収録 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 夜の声 | 1985 | 創元推理文庫536-1 | 短編集1と2から抜粋した日本独自の短編集 | |
1 | 夜の声 (闇の中の声) |
1907 | 河出文庫「怪獣文学大全」('98) 国書刊行会 アーカム・ハウス叢書「海ふかく」 岩崎書店 恐怖と怪奇名作集7「墓場から帰る」('99) |
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2 | 熱帯の恐怖 | 1905 | |||
3 | 廃船の謎 (漂流船の謎) (幽霊船の謎) |
1907 | 国書刊行会 アーカム・ハウス叢書「海ふかく」 講談社文庫「恐怖の1ダース」('80) |
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4 | ゲレイケン号の発見 | 1913 | |||
5 | 石の船 | 1914 | 国書刊行会 アーカム・ハウス叢書「海ふかく」 | ||
6 | カビの船 (漂流船) |
1912 | 朝日ソノラマ文庫「真夜中の黒ミサ 恐怖の一世紀1」('85) | ||
7 | ウドの島 (ユド女族の孤島) |
1914 | 国書刊行会 アーカム・ハウス叢書「海ふかく」 朝日ソノラマ文庫「悪夢の化身 恐怖の一世紀2」('85) |
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8 | 水槽の恐怖 | 1907 | カーナッキものの先駆的作品 | ||
2 | 海ふかく | 1986 | 国書刊行会 アーカム・ハウス叢書('86) | 短編集1と2から抜粋した日本独自の短編集 | |
1 | 海馬 | ||||
2 | 漂流船 | 1912 | 創元推理文庫536-1「夜の声」 | ||
3 | 海藻の中に潜むもの | ||||
4 | 静寂の海から | ||||
5 | ウドの島 | 1914 | 創元推理文庫536-1「夜の声」 | ||
6 | 闇の中の声 (夜の声) |
1907 | 創元推理文庫536-1「夜の声」 河出文庫「怪獣文学大全」('98) 岩崎書店 恐怖と怪奇名作集7「墓場から帰る」('99) |
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7 | 岬の冒険 | ||||
8 | 漂流船の謎 | 1907 | 創元推理文庫536-1「夜の声」 | ||
9 | 帰り船<シャムラーケン号> | ||||
10 | 石の船 | 1914 | 創元推理文庫536-1「夜の声」 | ||
11 | ランシング号の乗組員 | ||||
12 | まんなか小島の住人たち (ミドル小島に棲むものは) |
論創社 ダーク・ファンタジー・コレクション5「漆黒の霊魂」('07) | |||
13 | 暁に聞こえる呼び声 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 陽動作戦 | 1914 | 創元推理文庫104-29「完全犯罪大百科/下」('80) | ゴールド船長 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Call of the Sea | 1920 | - | |
2 | The Voice of Ocean | 1921 | - |
【参考】「夜の声」(東京創元社 創元推理文庫)
「幽霊狩人カーナッキ」(角川書店 角川ホラー文庫)
「異次元を覗く家」(早川書房 ハヤカワ文庫SF)