冷静沈着な初老のスパイ

UK ジョージ・スマイリー
(George Smiley)

寒い国から帰ってきたスパイ
「寒い国から帰ってきたスパイ」
(1963年)
(早川書房)

 イギリスの推理小説家ジョン・ル・カレの生んだイギリスの情報部員。初登場の「死者にかかってきた電話」では脇役として登場しますが、その後のスマイリー三部作では主人公として登場し活躍しました。

 大学時代にはドイツ17世紀文学を研究していた離婚歴のある初老の独身男性で、風貌はヒギガエルに例えられるように小太りで猫背。分厚い眼鏡をかけ服装の趣味も頂けない内気で風采の上がらない小男で、肉体的な行動力の衰えは著しく派手なアクションはとても期待はできません。

 しかしその分若くて行動的なスパイには決して持ち得ない、徳が彼にはあり、常に平静かつ慎重、決して慌てることはなく思慮の限りを尽くし、労を惜しまずに地道に真実を求め続けることができる粘り強さを持っています。

 米ソ両大国のエゴイズムが支配する冷戦構造の下で生きる現代人の悲哀を描いたこのシリーズは、同じ時代を生きる現代人にどこか共通するものがあり、読む者の心を捉えます。


■原作■

ジョン・ル・カレ
(John le Carrè 英 1931- )


■人物ファイル■

年齢
初登場時50代後半
「スマイリーと仲間たち」では70代半ば
職業
イギリス秘密諜報部〈サーカス〉の諜報部員(のち引退)
ライヴァル
宿敵ソ連諜報部カーラ
事件簿
8長編に登場

■事件ファイル■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 死者にかかってきた電話 1961 早川文庫 NV188
早川書房('65)
CWA賞シルヴァー・ダガー賞('61)
2 高貴なる殺人 1962 早川文庫 NV210
早川書房('66)
唯一の本格ミステリ
3 寒い国から帰ってきたスパイ 1963 早川文庫 NV174
早川書房 世界ミステリ全集16
早川書房('64)
MWA賞長編賞('65)
CWA賞ゴールド・ダガー賞('63)
ハヤカワベスト100・11位
EQアンケート59位
4 鏡の国の戦争 1965 早川文庫 NV226
早川書房('65)
5 ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ 1974 早川文庫 NV1118(新装版)
早川文庫 NV426
早川書房('75)
スマイリー三部作1
6 スクールボーイ閣下
(標的)
1977 早川文庫 NV431・432
早川書房('79)
プレイボーイ'78.2(抄訳)
CWA賞ゴールド・ダガー賞('77)
スマイリー三部作2
ハヤカワベスト100・35位
7 スマイリーと仲間たち 1979 早川文庫 NV439
早川書房('81)
スマイリー三部作3
8 影の巡礼者 1990 早川文庫 NV845
早川書房('91)

【オムニバス】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Incongruous Spy 1964 - 長編1~2を所収
2 The Quest for Karla
(Smiley Versus Karla)
1982 - 長編5~7を所収

access-rank


TOPへ