”ケントの恐怖”

UK コックリル警部
(Inspector Cockrill)

ジェゼベルの死
「ジェゼベルの死」
(1948年)
(早川書房)

 女流本格ミステリー作家クリスチアナ・ブランドの生み出したケント州警察の”鬼”と呼ばれる名警部。そのモデルは著者ブランドの敬愛する義父とされています。

 その風貌は鷲鼻に禿頭、右手の指先はニコチンで染まっていて、いつもヨレヨレのレインコートを身に纏っています。そのため一見すると無害な老人に見えるのですが、いざ捜査を開始すると持ち前の観察眼と推理力そして長年の経験を活かし、いったん獲物に喰らいつくや冷酷な狩人に豹変。そのため周囲からは「ケントの鬼」と恐れられているのです。

 また作中ではいつも親しげな雰囲気で事件関係者たちに接していき、最後には彼らを緊張状態に追い込んで互いにいがみ合わせ、ついには真犯人をあぶり出すというやり方を得意としているのですが、このような厄介な性格になったのは若い頃に彼の妻が難産で赤ん坊とともに亡くなってしまうという悲劇に見舞われたことが原因とも噂されています。

 全部で6つの長編と9つの短編、それに1つの戯曲に登場。その他に番外としてコックリルの妹の登場する長編が1作品あります。


■原作■

クリスチアナ・ブランド
(Christianna Brand 英 1907-88)


■人物ファイル■

職業
イギリス、ケント州警察警部(「はなれわざ」ではスコットランド・ヤードの警部として登場」)
愛用品
ヨレヨレのレインコート
好きな物
巻きタバコ
事件簿
6長編9短編1戯曲に登場
番外として妹の登場する長編が1作品ある

■事件ファイル■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 切られた首 1941 HPB515
2 緑は危険 1944 早川文庫57-1
HPB410
ハヤカワベスト100・92位
映画化('46)
3 自宅にて急逝 1946 HPB492 EQアンケート73位
4 ジェゼベルの死 1948 早川文庫57-2
HPB544
ハヤカワベスト100・41位
EQアンケート18位
チャールズワース警部との共演
5 疑惑の霧 1952 早川文庫57-5
HPB420
チャールズワース警部との共演
6 はなれわざ 1955 早川文庫57-3
HPB474
早川書房 世界ミステリ全集14('73)

【番外】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ゆがんだ光輪 1957 HPB517 コックリルの妹が登場

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 What Dread Hand? 1968 - 全15編
1 婚姻飛翔 1967 創元推理文庫262-1「招かれざる客たちのビュッフェ」
HMM'67.8
HMM'89.8
2 血兄弟 1965 創元推理文庫262-1「招かれざる客たちのビュッフェ」
HMM'67.7
3 事件のあとに
(帽子から飛び出したうさぎ)
1958 創元推理文庫262-1「招かれざる客たちのビュッフェ」
EQMM'59.9
2 招かれざる客たちのビュッフェ 1983 創元推理文庫262-1 全16編
EQアンケート42位
1 事件のあとに
(帽子から飛び出したうさぎ)
1958 EQMM'59.9 再収録
2 血兄弟 1965 HMM'67.7
3 婚姻飛翔 1967 HMM'67.8
HMM'89.8
4 カップの中の毒
(ブラック・コーヒー)
1969 HMM'69.5
3 ぶち猫
 コックリル警部の事件簿
2002 論創社 論創海外ミステリ69('07) 短編集2の4編再収録を含む全10編(邦訳はエッセイ+6編)
1 コックリル警部 エッセイ
2 最後の短編
(最後の短篇)
1973 HMM'73.7
3 遠い親戚
4 ロッキング・チェア 1984 HMM'88.12
5 屋根の上の男 1983 HMM'83.7
6 アレバイ HMM'04.12 ショートショート
7 ぶち猫 戯曲

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