H・R・F・キーティング
(Henry Reymond Fitzwalter Keating)
〔別名　イヴリン・ハーヴェイ (Evelyn Hervey)〕

「パーフェクト殺人」
（1964年）
（早川書房）

　イギリスの推理小説家。サセックス州に生まれ高校卒業後３年間の兵役に服し、その後大学で現代文学を学びます。大学卒業後は〈ウィルトシャー・ヘラルド〉紙、〈デイリー・テレグラフ〉紙、〈タイムズ〉紙と３つの出版社に勤務します。

　1953年、舞台女優のシーラ・ミッチェルと結婚し、その彼女の勧めでミステリーを書き始めます。そして1959年に「Death and the Visiting Firemen」でデビューし、1962年までに処女作と合わせて計４冊のミステリー長編を刊行しますが、当初売行きは芳しくありませんでした。

　そこでとにかく「アメリカの読者に受けるような作品を」ということに重点を置き、1964年になるとアメリカ人の嗜好に合いそうな異国情緒溢れるインドを舞台に、ガネッシ・ゴーテ警部の活躍する作品「パーフェクト殺人」を発表。するとこの作品がイギリス推理作家協会（ＣＷＡ)賞ゴールド・ダガー賞を獲得するなど評判を呼び、作家としての地位を確立したのです。

　その後もこのゴーテ警部の活躍するシリーズをはじめ、同じくゴールド・ダガー賞受賞作の歴史ミステリー「マハーラージャ殺し」など、独創的な舞台設定とユーモア溢れる文体で読者を楽しませてくれます。

「マハーラージャ殺し」
（1980年）
（早川書房）

　またミステリ評論家としても活躍しており、1967年から1983年まで十数年にわたって〈タイムズ〉の書評欄を担当したり、1979年に発表した評論「シャーロック・ホームズ　世紀末とその生涯」でアメリカ探偵作家クラブ（ＭＷＡ)賞の評論賞を受賞するなどしています。

　更に英国推理作家協会（ＣＷＡ）の会長やディテクション・クラブの会長を務めるなど人望も厚く、それらの功績を讃えて1996年には英国推理作家協会（ＣＷＡ）賞のダイヤモンド・ダガー賞が授与されました。

■作家ファイル■

出身地

イギリス、サセックス州セント・レナーズ＝オン＝シー

学歴

ロンドンのマーチャント・テイラーズ・スクールを経て、ダブリンのトリニティ・カレッジ卒
現代文学を研究

生没

1926年10月31日～2011年3月27日（84歳）

作家としての経歴

1959

妻の勧めでミステリ作家としてデビュー

1964

インドを舞台にしたゴーテ警部もの「パーフェクト殺人」でイギリス推理作家協会（ＣＷＡ)賞のゴールド・ダガー賞を受賞

1979

「シャーロック・ホームズ　世紀末のその生涯」でアメリカ探偵作家クラブ（ＭＷＡ）賞の評論賞を受賞

1980

ノンシリーズ長編「マハーラージャ殺し」でＣＷＡ賞ゴールド・ダガー賞を受賞

1996

イギリス推理作家協会（ＣＷＡ）賞のダイヤモンド・ダガー賞を受賞

シリーズ探偵

ガネッシ・ゴーテ主任警部 (Inspector Ganesh Ghote)
エンマ・クラッグス夫人 (Mrs. Emma Craggs)
ハリエット・マーチンズ (Harriet Martens)

代表作

「パーフェクト殺人」（ゴーテ警部）
「マハーラージャ殺し」

■著作リスト■

１　ガネッシ・ゴーテ主任警部登場作品リスト

２　エンマ・クラッグス夫人登場作品リスト

【長編】

【短編集】

３　ハリエット・マーチンズ登場作品リスト

４　その他の作品

【長編】

【イヴリン・ハーヴェイ名義の長編】

【短編集】

【邦訳短編】

【編書】

【ノンフィクション】

【エッセイ・評論その他】

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