火村英生
（Hideo Himura）

　新本格の代表的推理小説家である有栖川有栖の作品に登場する名探偵。初登場となった長編「46番目の密室」当時は32歳で、英都大学社会学部から大学院へと進み、現在は同大学の犯罪社会学の助教授を務めています。

　この職業を選んだのは自らも人を殺したいという心理になったことがあり、その心理を解明するためだと言い、実際に事件が起きると警察と協力して自らの手で犯罪者と対峙していきます。そんな所から「臨床犯罪学者」という異名を付けられ、警察からも一目置かれる存在となっています。

　彼の捜査をサポートするのが推理作家の有栖川有栖で、二人は大学２年の時に知り合い、以後親しい関係を築いてきました。本格ミステリとしても優れたシリーズですが、二人が関西出身ということもあって関西弁を交えた絶妙のやり取りで読者を楽しませてくれるのもこのシリーズの大きな特徴と言えるでしょう。

　このシリーズを代表するのがアメリカ本格黄金時代の巨匠エラリー・クイーンを髣髴とさせる〈国名シリーズ〉で、短編集「ロシア紅茶の謎」を皮切りに、二人は長編に短編にと大活躍を見せてくれています。