アルバート・キャンピオン氏
(Mr. Albert Campion)

　本国イギリスではミステリーの女王アガサ・クリスティーらとともに”ビッグ４”とも称さるなど、高い人気と実力を誇った女流本格ミステリー作家マージェリー・アリンガムの発表した作品の大半に登場するアマチュア探偵。

　初登場作となった「ブラック・ダッドレーの犯罪」ではロンドンの高級マンションで暮らす金持ちの有閑紳士として姿を見せてくれますが、その時はまだ主人公ではなく脇役にすぎませんでした。しかしその後しばらくして1930年代以降になると真面目で優れた名探偵に変貌し、様々な事件で大活躍を見せるようになります。

　その風貌はひょろりとした細身にブロンドの髪と青白い顔をしていて、異常に大きい角縁眼鏡をかけています。そのため一見すると薄ぼんやりとした印象を受けますが、実は大変な博識で深い洞察力を持った人物です。

　彼の家に同居して世話をしているのが忠実な執事のラッグで、彼はカラーから肉がはみ出るほどの肥満体ですが、元泥棒の前科者で裏社会の事情に異常に詳しく、主人であるキャンピオンを助けます。

　その他にも妹のヴァルや恋人のアマンダ・フィットンなど、キャンピオンの周りを固める脇役も、実に個性的なキャラクターが揃っています。

　このキャンピオン・シリーズは本国イギリスでは1989年から90年にかけて"Campion"のタイトルで８作品（全16話）が映像化されているらしく、そちらも好評を博したようです。