英国本格黄金時代のミステリー作家ジョセフィン・テイ女史の創造したイギリスの警察官探偵。スコットランド・ヤード犯罪捜査部の警部。
その風貌は身長6フィート(183センチ)の長身に髪の毛はもじゃもじゃで、がっちりとした体格は用心棒を思わせる大柄な紳士です。
性格は用心深く物静かで、理詰めで物事を考えていくタイプですが、これは学生時代から教訓としている「物事が暗礁に乗り上げた時は無理をせず注意をそらしてみよ」という考え方が捜査に生かされているそうです。
独身で普段の身の周りの世話はミセス・ティンカーという家政婦がしていますが、マータ・ハーラーという女優の恋人がいます。
第5作「時の娘」では、犯人追跡中にマンホールの穴に落ちてしまい負傷してベッドで入院生活を余儀なくされますが、それがきっかけとなって歴史教科書についての解釈の誤りについて推理するという、安楽椅子探偵ならぬ”ベッド探偵”としての活躍を見せてくれることとなります。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 列のなかの男 | 1929 | 論創社 論創海外ミステリ43('06) | 初出時はゴードン・ダヴィオット名義 |
2 | ロウソクのために一シリングを | 1936 | HPB1704 HMM'00.6-10 |
ヒッチコック映画「第3逃亡者」の原作 |
3 | フランチャイズ事件 | 1948 | HPB138 | |
4 | 美の秘密 | 1950 | HPB171 | |
5 | 時の娘 | 1951 | 早川文庫51-1 HPB114 |
ハヤカワベスト100・28位 EQアンケート51位 |
6 | 歌う砂 ─グラント警部最後の事件 |
1952 | 論創社 論創海外ミステリ19('05) | テイの遺作 |
【参考】「ハヤカワミステリマガジン2000年6月号」(早川書房)