史上最低の探偵

UK ウィルフレッド・ドーヴァー主任警部
(Chief Inspector Wilfred Dover)

切断
「切断」
(1967年)
(早川書房)

 イギリスの女流本格ミステリー作家ジョイス・ポーターの生み出した「史上最低の探偵」の異名を取るイギリスの警察官探偵。

 慎重190センチ、体重は100キロを超える巨体にビヤ樽のような腹、そして〈腹ぼてのカバ〉のような醜い顔。性格は極めて陰気で小心で嫉妬深く、面倒くさいことは大嫌いでおまけに自分勝手でごうつくばり。
年中胃が痛いとこぼし、人前で平気でげっぷをし捜査も一応は聞き込みはするのですが、単に報告書を書くためのものであり、それも全て部下におしつけるという体たらく。

 何ひとつとりえがないのですが、分署の刑事だった時に彼を持て余した上司がスコットランド・ヤードに泣きついてドーヴァーを昇進させて厄介払いをし、そうやって分署をたらい回しにされているうちにスコットランド・ヤード犯罪捜査課の主任警部にまで昇進してしまったという幸運な人物です。

 また事件解決もこのような経歴と同様棚ぼた式であり、彼の的外れの無茶苦茶な捜査がかえって犯人を面喰わせ、疑心暗鬼にさせて最後には自らシッポを出すというパターンが殆どで、部下の若くて優秀な刑事チャールズ・エドワード・マグレガー部長刑事がいつも推理と尻拭いをさせられています。


■原作■

ジョイス・ポーター
(Joyce Porter 英 1924-90)


■人物ファイル■

職業
イギリス・スコットランド・ヤード犯罪捜査課の主任警部
好きなもの
ビール、タバコ(誰かがおごってくれた時だけ)
協力者
部下のチャールズ・エドワード・マグレガー部長刑事
事件簿
10長編1短編集

■事件ファイル■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ドーヴァー1 1964 HPB967
2 ドーヴァー2 1965 HPB968
3 誤算
(ドーヴァー3)
1965 早川文庫32-3
HPB982
4 切断
(ドーヴァー4/切断)
1967 早川文庫32-1
HPB1066
早川書房 世界ミステリ全集14('73)
EQアンケート56位
ハヤカワベスト100・77位
5 奮闘
(ドーヴァー5/奮闘)
1968 早川文庫32-2
HPB1118
6 ドーヴァー6/逆襲 1970 HPB1198
7 ドーヴァー7/撲殺 1973 HPB1257
8 ドーヴァー8/人質 1976 HPB1305
9 ドーヴァー9/楽勝 1978 HPB1336
10 ドーヴァー10/昇進 1980 HPB1381

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Dover: The Collected Short Stories 1996 -
1 Dover Pulls a Rabbit
急げ、ドーヴァー!
1969 HMM'69.5
HMM'89.8
2 Dover Tangles with High Finances
どうどうドーヴァー
1970 HMM'71.3
3 Dover and the Dark Lady
おつかれドーヴァー
1972 HMM'72.8
4 ドーヴァー、少し頭を使う 1976 創元推理文庫200-2「今月のペテン師」('80)
5 ドーヴァー、カレッジへ行く
(成人学級殺人事件)
1978 早川文庫2-37「クイーンズ・コレクション2」('85)
EQ'78.7(4)
6 Dover Without Perks
ドーヴァー割を食う
EQ'79.3
7 臭い名推理 1979 光文社文庫「新世界傑作推理12選」('86)
EQ'80.1
EQ'94.7
8 Sweating It Out with Dover
ドーヴァー汗をかく
1980 EQ'80.11
9 Dover Sees the Trees
ドーヴァー森を見ず
1981 EQ'81.5
10 Dover Weighs the Evidence
ドーヴァー証拠を秤る
1982 EQ'82.7
11 A Souvenir for Dover
ドーヴァーの獲物
1985 EQ'93.1

【未収録短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Dover Does Some Spadework
ここ掘れドーヴァー
1976 HMM'76.11
2 The Case Dover Wiped Off
ドーヴァーもみ消す
HMM'86.2

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