アメリカの女性推理小説家リリアン・J・ブラウンの小説に登場する、オスのシャム猫。本名はカウ・コウ=クンといいますが、これは13世紀の中国の画家の名前から採ったものだそうです。
元々は美術評論家の飼い猫でしたが、デビュー長編「猫は手がかりを読む」で起きた事件をきっかけにアメリカ中西部の都市で新聞記者として活躍するジム・クィラランに引き取られ、彼と一緒にと暮らすようになります。また2作目からはメスのシャム猫ヤムヤムも登場し、カップルとして活躍するようになりました。
ココは猫ではあるものの、新聞を読んだり、タイプで自分の意志を伝えることができるなど並みの人間よりはるかに賢く、更には辞書の単語ゲームをしたり、いろいろなスイッチを入れる技術など、一作ごとに様々な技能を習得。猫独特の不思議な能力も発揮して、飼い主のクィラランに毎回事件解決の重要な手がかりを与えます。
一方ココの飼い主のジム・クィラランは年齢46歳で身長6フィート2インチ。彼の名前の由来は作者がありふれた名前が嫌いなことから、アルファベットで一番使用頻度の少ないQを頭文字にして名付けたのだそうです。
特大の口ヒゲがトレードマークの葉巻と美女を愛する威丈夫ですが、離婚歴があり少々肥り気味なのが玉に瑕。3長編までは新聞記者として活躍していましたが、第4作で新聞記者を引退し、カナダ国境に近いムース郡の田舎町に引っ込んで小さな新聞社や芝居、ライフワークの小説の執筆などに打ち込んだりする毎日を送っています。
そんな彼にとって猫たちは一般的に言われるように、つかみどころのない、人間の思い通りにならない生き物でもありますが、それでいてこちらの心はちゃんと理解し、秘密の話の聞き役にもなり、時には勇気づけ、慰めてくれる頼もしい存在でもあります。
ユーモアたっぷりで血なまぐさい殺人が登場する本は読んだことがないという読者にもオススメのこのシリーズですが、それ以外にもムース郡の田舎町に住む人間味たっぷりの住人たちとのやり取りや、またクィラランの心をときめかせる女性が毎回登場するのもこのシリーズの楽しみの一つです。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 猫は手がかりを読む | 1966 | 早川文庫141-2 | |
2 | 猫はソファをかじる | 1967 | 早川文庫141-3 | |
3 | 猫はスイッチを入れる | 1968 | 早川文庫141-4 | |
4 | 猫は殺しをかぎつける | 1986 | 早川文庫141-1 | |
5 | 猫はブラームスを演奏する | 1987 | 早川文庫141-20 | |
6 | 猫は郵便配達をする | 早川文庫141-21 | ||
7 | 猫はシェイクスピアを知っている | 1988 | 早川文庫141-6 | |
8 | 猫は糊をなめる | 早川文庫141-7 | ||
9 | 猫は床下にもぐる | 1989 | 早川文庫141-8 | |
10 | 猫は幽霊と話す | 1990 | 早川文庫141-9 | |
11 | 猫はペントハウスに住む | 早川文庫141-10 | ||
12 | 猫は鳥を見つめる | 1991 | 早川文庫141-11 | |
13 | 猫は山をも動かす | 1992 | 早川文庫141-12 | |
14 | 猫は留守番をする | 早川文庫141-13 | ||
15 | 猫はクロゼットに隠れる | 1993 | 早川文庫141-14 | |
16 | 猫は島へ渡る | 1994 | 早川文庫141-15 | |
17 | 猫は汽笛を鳴らす | 1995 | 早川文庫141-16 | |
18 | 猫はチーズをねだる | 1996 | 早川文庫141-17 | |
19 | 猫は泥棒を追いかける | 1997 | 早川文庫141-18 | |
20 | 猫は鳥と歌う | 1998 | 早川文庫141-19 | |
21 | 猫は流れ星を見る | 1999 | 早川文庫141-22 | |
22 | 猫はコインを貯める | 2000 | 早川文庫141-23 | |
23 | 猫は火事場にかけつける | 2001 | 早川文庫141-24 | |
24 | 猫は川辺で首をかしげる | 2002 | 早川文庫141-25 | |
25 | 猫は銀幕にデビューする | 2003 | 早川文庫141-26 | |
26 | 猫は七面鳥とおしゃべりする | 2004 | 早川文庫141-28 | |
27 | 猫はバナナの皮をむく | 早川文庫141-29 | ||
28 | The Cat Who Dropped a Bombshell 猫は爆弾を落とす |
2006 | 早川文庫141-30 | |
29 | 猫はひげを自慢する | 2007 | 早川文庫141-31 | |
30 | The Cat Who Smelled Smoke | 未発表 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | 猫は14の謎をもつ | 1988 | 早川文庫141-5 | ||
1 | 猫は神経を集中する (ファフィーは名探偵) (ファットファットの精神感応) |
1963 | EQ'89.1 HMM'88.8 EQMM'65.1 |
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2 | 大きな水たまりが現れた週末 | ||||
3 | ヤッピー猫現象 | ||||
4 | ドラモンド通りのヒーロー | ||||
5 | 怒った博物館のネズミとり猫 | ||||
6 | 黒い猫 (猫のくろ) |
HMM'68.3 | |||
7 | イースト・サイド・ストーリー | ||||
8 | ティブシーと公衆衛生局 | ||||
9 | 良心という名の猫 | ||||
10 | ススと八時半の幽霊 (八時三十分の幽霊) |
1964 | 光文社文庫「ネコ好きに捧げるミステリー」('90) EQ'90.3 |
||
11 | スタンリーとスプーク | ||||
12 | ヒゲ長の奇妙な猫 | 早川文庫「動物たちは共犯者─アメリカ探偵作家クラブ傑作選13」('91) | |||
13 | マダム・フロイの罪 | 扶桑社ミステリー「不思議な猫たち」('99) 荒地出版社「年刊推理小説・ベスト16〈1964年版〉」('63) |
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14 | おおみそかの悲劇 (元旦の悲劇) |
HMM'68.6 | |||
2 | 猫は日記をつける | 2003 | 早川文庫141-27 | 全22編のシリーズ番外短編集 | |
1 | カウ・コウ=クン、鳴きわめきながら登場 (カウ・コウ=クン、泣きわめきながら登場) |
HMM'04.5 | |||
2 | ヤムヤム、金切り声で鳴きながら登場 | ||||
3 | 猫についての無知の告白 | ||||
4 | ヒゲが六十本ある猫 | ||||
5 | 前足のヤムヤム | ||||
6 | ココとシャム猫のロープの芸当 | ||||
7 | ヤムヤムとインテリア・デザイナー | ||||
8 | ココとラム・タム・タガー・シンドローム | ||||
9 | 猫!その理解しがたいものよ | ||||
10 | 銀の指ぬきの問題 | ||||
11 | 利口なココの暦 | ||||
12 | なぜ猫はこういう行動をするのか? | ||||
13 | 猫にはユーモアセンスがあるか? | ||||
14 | ヤムヤムが出ていった日 | ||||
15 | 五行戯詩 へんぴな土地での楽しみ | ||||
16 | 利口なココはこうもいっている | ||||
17 | 猫を名づけるすばらしい技術 | ||||
18 | ヤムヤムとクイーンサイズのベッド | ||||
19 | ココのユニークな社交上のたしなみ | ||||
20 | 誘拐された! | ||||
21 | さらに利口なココの格言 | ||||
22 | ヤムヤムが翼を発見する |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Cat Who Put Four in a Box | 1999 | - | |
2 | Quilleran's Short and Tall Tales | 2002 | - | |
3 | Two Cats, Three Tales | 2006 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | シャム猫ココの調査報告 | 1998 | 早川文庫141-99 | シャロン・A・フィースター著 ガイドブック |
2 | 猫はキッチンで奮闘する | 2008 | 早川文庫141-98 | 羽田詩津子著 料理レシピ集 |