リチャード・マシスン
(Richard Burton Matheson)
〔別名　ローガン・スワンソン (Logan Swanson)〕

　アメリカの小説家。ホラー・サスペンスから怪奇小説、ＳＦから本格ミステリーまで、更にはファンタジーからウエスタン小説まで様々なジャンルの作品を発表し、また短編の名手としても有名な一方、映画脚本も多数手がけている多才な作家です。

　ニュージャージー州の両親がノルウェー人移民の家に生まれ、上には兄と姉が一人ずついました。幼い頃ブルックリン市に移り、現地の工業学校で建築技術を学びますが、17歳の時に陸軍に志願し歩兵隊に編入されてフランスとドイツを転戦。負傷して除隊となります。

　1946年にミズーリ大学に入学するとジャーナリズムを専攻して3年後に学士号を取得して卒業していますが、在学中に芝居や短編小説やミュージカル脚本、流行歌の歌詞などを書くなどこの頃すでに文筆活動を開始していたといいます。当初は作詞家になりたかったそうですがすぐに断念したそうです。

　大学卒業後は作家を志し昼間はサラリーマンとして仕事をしながら夜に小説を書くという生活スタイルを送っていましたが、1950年24歳の時に初めての短編「モンスター誕生」が売れたことをきっかけに、ひたすら作品を書き上げることに集中。1953年にはロマンティック・サスペンス「愛人関係（原題は『誰かが血を流している』）」を発表して長編デビューも果たします。

　そしてこの頃から短編を〈ギャラクシー〉や〈アスタウンディング・サイエンス・フィクション〉、そして〈Ｍ・Ｆ・Ｓ・Ｆ〉などに掲載されるようになりました。

　1954年にはそれまでの科学小説や怪奇小説を集めた短編集「モンスター誕生」を刊行し、更に２度映画化されているホラー・サスペンスの古典的傑作と評される長編「アイ・アム・レジェンド（地球最後の男）」を発表。

　翌1955年には長編「縮みゆく人間」を発表し、これが出世作となって1957年にはユニバーサル・インターナショナル・スタジオで彼自身の脚色で映画化されました。その後は映画脚本の執筆にも興味を示し、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「激突！」や原作・脚本の映画「ヘル・ハウス（地獄の家）」、それに「トワイライトゾーン（ミステリーゾーン）」や「事件記者コルチャック」などの数多くのＴＶシナリオや映画脚本も書いています。

　小説の方も「地獄の家」や「奇蹟の輝き」など映画化された作品も非常に多く、中でも1976年には前年発表したファンタジー長編「ある日どこかで」で世界幻想文学大賞の長編部門大賞を受賞しています。1995年には密室ものの長編本格ミステリー「奇術師の密室」も執筆し話題となりました。

　また短編小説の分野でも評価が高く、デビュー短編を収録した「モンスター誕生」の他、日本でも異色作家短篇集と題して早川書房より刊行されている「13のショック」などでよく知られています。

　小説家としてはスティーヴン・キングなど欧米の作家たちに多大な影響を与え、脚本家としても「X-ファイル」などの作品に影響を与えたといわれているほか、息子のクリスチャン・マシスンもホラー作家として活躍しています。