美味いビールをこよなく愛する迷探偵
イギリス本格黄金時代の代表的作家の一人アントニイ・バークリーが生みだしたアマチュア探偵。
小柄でずんぐりした体格で、オックスフォード大学を卒業の後第一次大戦に従軍し、その際二度負傷の経験があります。このあたりは著者バークリーと同じです。
そして復員した後、「ほんの弾みで」書いた小説が一躍ベストセラーになってしまい、小説家の肩書きを持つようになります。それと合せてまた〈デイリー・クーリア〉紙の記者としても活躍します。
そのモデルは作者バークリーが語ったところによれば、「昔知っていたある無礼な人間を元に創造した」としているだけに、趣味である犯罪学の知識を鼻にかけ、所構わず講義をしたりするなど、かなり無礼で迷惑な人間として描かれています。
もっとも時には推理に失敗することもあって、思わずガックリするシーンもあり、またビールをこよなく愛するお茶目でユニークな人物でもあります。
バークリーの代表作の一つでもある「毒入りチョコレート事件」では犯罪研究会の会長として、ロンドン警視庁、スコットランド・ヤードのモレズビー警部が持ち込んだ難事件にもう一人の名探偵アンブローズ・チタウィックとともに挑戦します。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | レイトン・コートの謎 | 1925 | 国書刊行会 世界探偵小説全集36('02) | |
2 | ウィッチフォード毒殺事件 | 1926 | 晶文社 晶文社ミステリ('02) | |
3 | ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎 | 1927 | 晶文社 晶文社ミステリ('03) | |
4 | 絹靴下殺人事件 | 1928 | 晶文社 晶文社ミステリ('04) 日本公論社 翻訳探偵小説('36)(抄訳) |
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5 | 毒入りチョコレート事件 | 1929 | 創元推理文庫123-5(新版) 創元推理文庫123-1 講談社文庫('77) 東都書房 世界推理小説大系18('62) 宝石'54.5-7 |
アンブローズ・チタウィックとの共演 EQアンケート13位 |
6 | 第二の銃声 | 1930 | 創元推理文庫123-7 国書刊行会 世界探偵小説全集2('94) 黒白書房 世界探偵傑作叢書17(抄訳)('36) |
EQアンケート51位 |
7 | 最上階の殺人 | 1931 | 新樹社 新樹社ミステリ('01) | |
8 | 地下室の殺人 | 国書刊行会 世界探偵小説全集12('98) | ||
9 | ジャンピング・ジェニイ | 1933 | 創元推理文庫123-6 国書刊行会 世界探偵小説全集31('01) |
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10 | パニック・パーティ | 1934 | 原書房 ヴィンテージ・ミステリー・シリーズ('10) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
1 | The Roger Sheringham Stories | 1994 | - | ||
1 | The Body Upstairs | - | |||
2 | Temporay Insanity | - | 長編「レイトン・コートの謎」の脚色 | ||
3 | The Avenging Chance | - | 「偶然の審判」の中編 | ||
4 | Direct Evidence | - | |||
5 | Double Bluff | - | 上記4の別ヴァージョン | ||
6 | Perfect Alibi 完璧なアリバイ |
1930 | HMM'93.4 | ||
7 | White Butterfly 白い蝶 |
1936 | EQ'83.5(33) | ||
8 | 瓶ちがい | 1940 | HPB252「名探偵登場3」('56) | ||
9 | Razor-Edge のるかそるか |
EQ'94.1(97) | |||
10 | Red Anemones | - | |||
11 | Mr. Bearstowe Says ブルームズベリで会った女 |
1943 | HMM'82.3(311) | ||
2 | The Avenging Chance and Other Mysteries from Roger Sheringham's Casebook | 2004 | - | ||
1 | The Avenging Chance | - | 「偶然の審判」の中編 再収録 |
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2 | Perfect Alibi 完璧なアリバイ |
1930 | HMM'93.4 | 再収録 | |
3 | The Mystery of Horne's Copse | 1931 | - | ||
4 | Unsound Mind 不健全な死体 |
1933 | HMM'06.3 | 非シェリンガムもの | |
5 | White Butterfly 白い蝶 |
1936 | EQ'83.5(33) | 再収録 | |
6 | 瓶ちがい | 1940 | HPB252「名探偵登場3」('56) | ||
7 | Double Bluff | - | |||
8 | Mr. Bearstowe Says ブルームズベリで会った女 |
1943 | HMM'82.3(311) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 偶然の審判 (偶然は裁く) |
1928 | 創元推理文庫169-1「毒薬ミステリ傑作選」('77) 創元推理文庫100-3「世界短編傑作集3」('60) HPB219「黄金の十二」('55) 東京創元社 世界推理小説全集50「世界短篇傑作集1」('57) 新青年'34春季増刊 |
TVドラマ化('68) 黄金の十二 |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | 警察官に聞け | 1933 | 早川文庫99-1 HMM'84.1-6 |
ドロシー・L・セイヤーズの手による |
No. | 事件名 | 発表年 | DVD | 備考 |
1 | Detective: The Avenging Chance |
1968 | - | 監督:モイラ・アームストロング 脚本:ジョン・グールド 主演:ジョン・カーソン、ジェームズ・アップルビー 原作「偶然の審判」 |