飲めば飲むほど冴えわたる推理

USA 酒仙探偵 J・J・マローン刑事弁護士
(John Joseph Malone)

大はずれ殺人事件
「大はずれ殺人事件」
(1940年)
(早川書房)

 ユーモアに溢れた本格ミステリーを書き続けたアメリカの女流作家クレイグ・ライスが生み出したキャラクターで、シカゴに住む酔いどれの刑事弁護士。

 タクシー運転手をしながら夜間に法律学校で勉強し弁護士資格を取得した苦労人で、人情にほだされ易く、中年になった今も独身で、シカゴ市内のホテル住まいを続けています。また美女と酒をこよなく愛し、特に酒の方はライ・ウィスキーかジンのダブルをビールのチェイサーで飲むほどの酒豪です。

 このマローン弁護士シリーズはマローンの他にもう2人の主人公がいます。それはシカゴのナイトクラブ〈カジノ〉を経営するジェイク・ジャスタスと、大富豪の娘で酒豪であり黄色いコンバーティブルを乗り回すスピード狂のヘレン・ブラントです。

 ヘレンとジェイクは第3作「大はずれ殺人事件」で結婚しますが、この2人がいつも違法スレスレの捜査で事件をややこしくしては解決の糸をもつれさせるのですが、それをマローンが上手に解きほぐして見事に解決に導いていく…これがこのシリーズの典型的なパターンとなっています。


■原作■

クレイグ・ライス
(Craig Rice 米 1908-1957)


■人物ファイル■

愛用品
行きつけのバー〈天使のジョー〉
好きなもの
酒(ジン、ライ・ウィスキーのダブル)
ミンクや宝石の好きな踊り子、ポーカー
協力者
ナイトクラブ〈カジノ〉の経営者ジェイク・ジャスタス (Jake Justus)
大富豪の娘で酒豪でスピード狂のヘレン・ブラント (Helene Brand)
殺人課のダニエル・フォン・フラナガン警部
事件簿
12長編42中短編に登場

■事件ファイル■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 時計は三時に止まる
(マローン売り出す)
1939 創元推理文庫249-1
光文社文庫
EQ'86.7-9
2 死体は散歩する
(マローン勝負に出る)

1940

創元推理文庫249-3
EQ'88.5-7
3 大はずれ殺人事件 早川文庫28-2
HPB210
ハヤカワベスト100・85位
4 大あたり殺人事件 1941 早川文庫28-3
HPB211
5 暴徒裁判
(怒りの審判)
早川文庫28-7
HPB684
新樹社 ぶらっく選書12('50)
6 こびと殺人事件
(矮人殺人事件)
1942 創元推理文庫249-4
別冊宝石50('55)
7 素晴らしき犯罪
(素晴しき犯罪)
1943 早川文庫28-5
HPB565
新樹社 ぶらっく選書11('50)
宝石'50.1(5-1)
8 幸運な死体 1945 早川文庫28-4
HMM'81.1-3
別冊宝石50('55)
9 第四の郵便配達夫
(第四の郵便屋)
1948 創元推理文庫249-2
新樹社 ぶらっく選書4('50)
10 わが王国は霊柩車 1957 HPB880
11 マローン御難 早川文庫28-6
HPB479
12 But the Doctor Died 1967 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 マローン殺し
(わが名はマローン)
1958 創元推理文庫249-5「マローン殺し」 クイーンの定員116
1 マローン殺し 1953 光文社文庫「クイーンの定員 IV」('92)
EQ'83.11
2 邪悪の涙
(にくらしい曲線)
マンハント'54.4
3 胸が張り裂ける
(うぶな心が張り裂ける)
1943 早川文庫277-1「密室殺人傑作選」('03)
HPB254「名探偵登場5」('61)
HPB1161「密室殺人傑作選」
早川書房 世界ミステリ全集18「37の短篇」('73)
EQMM'60.10
ライスの処女短編
4 永遠にさよなら
(最後のさよなら)
1951 EQMM'60.9
5 そして鳥は歌いつづける
(小鳥たちはまた歌う)
1952 HPB729「EQMMアンソロジー II 」('62)
EQMM'58.6
6 彼は家へ帰れない 1957
7 恐ろしき哉、人生
(駆けめぐる死体)
1953 HMM'78.5
8 さよなら、グッドバイ!
(グッドバイ、グッドバイ)
(グッドバイ・グッドバイ!)
1946 HMM'89.8
EQMM'57.6
9 幸運なブラッドリー
(災難ブラッドリイの事件)
1943 EQMM'61.10
10 恐怖の果て
(恐怖の終り)
(恐怖という名の小猫)
1953 HMM'87.4
2 People vs. Withers and Malone
(ウィザーズ&マローン裁判)
1963 - スチュアート・パーマーとの合作
クイーンの定員120
1 Once Upon a Train
汽笛一声
1950 EQMM'59.2
2 Cherchez la Frame
罠を探せ
1951 EQMM'57.11
3 三人目の男 1954 早川書房「復刻エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン No.1-3」('95)
EQMM'56.7
4 Rifts in the Loot
貰いそこねた分け前
1955 EQMM'57.7
5 Withers and Malone, Crime-Busturs
犯罪気ちがい
1963 EQMM'64.8
6 Withers and Malone, Brain-Stormers
九死に一生
1959 EQMM'59.7
3 Murder, Mystery and Malone 2002 - メルヴィル・フェアもの1編他全12編
1 Beyond the Shadow of a Dream
夢の影より
1955 EQMM'60.2
2 One More Clue
もう一つ手掛りが
(お茶の子サイサイ)
1958 荒地出版社「年刊推理小説ベスト10(1960年版)」
マンハント'59.11
3 Wry Highball
飲んであの世へ
(ハイボールの罠)
1959 EQMM'59.8
心交社「ワイン通の復讐」('98)
4 They're Trying to Kill Me -
5 Shot in the Dark 1955 -
6 Say It with Flowers
手向けの花
1958 EQ'97.9
7 No, Not Like Yesterday
マローン予言者になる
1956 HMM'84.6
8 The Frightened Millionaire
怯えた百万長者
HMM'83.12
9 Hard Sell
セールスマン殺し
(セールスメンの死)
1960 荒地出版社「年刊推理小説ベスト18(1963年版)」
HMM'76.8
10 Murder Marches On !
お葬いは大騒ぎ
1953 マンハント'59.1

【未収録中短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Don't Go Near...
ライオンの檻に近寄るな
1953 マンハント'62.6
2 馬を飲みこんだ男 創元推理文庫104-24「ミニ・ミステリ傑作選」('75)
EQMM'59.5
3 Smoke Ring
煙の環
新潮文庫「謎のギャラリー─こわい部屋」('02)
EQMM'60.8
4 The Bells Are Ringing
鐘は鳴る鳴る
マンハント'62.10
5 ...And Be Merry
紙の葡萄
1954 マンハント'62.9
6 I'm a Stranger Here Myself
わたしもよそ者です
マンハント'62.12
7 No Vacancies
あかない部屋
マンハント'62.11
8 Murder in the Family
身内にご用心
EQ'79.5
9 Flowers to the Fair
美人には花束を
マンハント'63.3
10 The Headless Habox 1955 - 「わが王国は霊柩車」の中編
11 No Motive for Murder -
12 Dead Men Spend No Cash 1956 -
13 Cheese It,the Corpse
死体からずらかれ
1957 マンハント'63.4
14 The Very Groovy Corpse 1958 -
15 The Butler Who Didn't Do It
黙らされた執事
1960 ヒッチコックマガジン'60.8
16 Malone and the Missing Weapon
マローンと消えた兇器
1961 EQMM'61.12

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