UK ロバート・バーナード
(Robert Barnard)
〔別名 バーナード・バスタブル (Bernard Bastable)〕

作家の妻の死
「作家の妻の死」
(1979年)
(早川書房)

 「クリスマス・キャロル」などで有名なイギリスの文豪チャールズ・ディケンズ論で博士号も持っているイギリスの本格ミステリー作家。

 エセックス州に生まれ、オックスフォード大学を卒業後1961年から84年までオーストラリアやノルウェーの大学で英文学の教鞭を執っていましたが、その合い間を縫って執筆活動も開始し、1974年に長編「年老いたヤギの死」で作家デビューを果たします。

 そして1978年から1980年にかけて発表した「不肖の息子」「作家の妻の死」「雪どけの死体」の3つの長編が3年連続でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞にノミネートされるなど次第に頭角を現わし、現在ではイギリス現代本格の代表的作家の一人に挙げられるまでになりました。

 バーナードの作品はミステリーの女王アガサ・クリスティーを思わせる緻密に張り巡らされた伏線と鮮やかなトリックが彼の持ち味であり、他方アガサ・クリスティーに関しては「欺しの天才─アガサ・クリスティ創作の秘密」という評論も残しているなど、クリスティーは彼の作品を語る上では外せない作家の一人です。

暗い夜の記憶
「暗い夜の記憶」
(1985年)
(社会思想社)

 他にも「拷問」(1981)をはじめ5つの長編があるスコットランド・ヤード警部ペリー・トレソワンの活躍するシリーズや長編「暗い夜の記憶」などの代表作があり、またバーナード・バスタブル名義ではあの有名な音楽家モーツァルトを主人公にしたコメディタッチの歴史ミステリも書いており、読者を飽きさせない多彩な作風で人気を集めています。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、エセックス州バーナム
学歴
オックスフォード大学ベイオリル・カレッジ卒
生没
1936年11月23日~
作家としての経歴
1974
長編「年老いたヤギの死」で作家デビュー
1978
この年から1980年にかけて長編「不肖の息子」「作家の妻の死」「雪どけの死体」の3作品で3年連続アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞にノミネートされる
1980
ミステリの女王アガサ・クリスティーの評論「欺しの天才─アガサ・クリスティ創作の秘密」を発表
2003
イギリス推理作家協会(CWA)賞のダイヤモンド・ダガー賞を受賞
シリーズ探偵
スコットランド・ヤードのペリー・トレソワン警部 (Perry Trethowan)
チャーリー・ピース巡査 (Charlie Peace)
イドクル・メレディス主任警部 (Idwal Meredith)
マイク・オッディー警視 (Mike Oddie)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (Amadeus Mozart)(バーナード・バスタブル名義)
代表作
「不肖の息子」「作家の妻の死」「雪どけの死体」
「暗い夜の記憶」

■著作リスト■

1 ペリー・トレソワン警部登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 拷問 1981 光文社文庫('88)
2 Death and the Princess 1982 -
3 The Missing Bronte
(米 The Case of the Missing Bronte)
1983 -
4 ポルノ・スタジオ殺人事件 1986 光文社文庫('90) チャーリー・ピース巡査との共演
5 Death in Purple Prose
(米 The Cherry Blossom Corpse)
1987 - チャーリー・ピース巡査との共演

2 チャーリー・ピース巡査登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ポルノ・スタジオ殺人事件 1986 光文社文庫('90) ペリー・トレソワン警部との共演
2 Death in Purple Prose
(米 The Cherry Blossom Corpse)
1987 - ペリー・トレソワン警部との共演
3 Death and the Chaste Apprentice 1989 -
4 A Fatal Attachment 1992 - マイク・オッディー警視との共演
5 A Hovering of Vultures 1993 - マイク・オッディー警視との共演
6 The Bad Samaritan 1995 - マイク・オッディー警視との共演
7 No Place of Safety 1997 - マイク・オッディー警視との共演
8 The Corpse at the Haworth Tandoori 1998 -
9 The Bones in the Attic 2001 -
10 A Fall from Grace 2006 -
11 The Killings on Jubilee Terrace 2009 -
12 A Charitable Body 2012 -

3 イドクル・メレディス主任警部登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 不肖の息子 1978 HPB1428
2 芝居がかった死 1988 HPB1543

4 マイク・オッディー警視登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 A City of Strangers 1990 -
2 A Fatal Attachment 1992 - チャーリー・ピース巡査との共演
3 A Hovering of Vultures 1993 - チャーリー・ピース巡査との共演
4 The Bad Samaritan 1995 - チャーリー・ピース巡査との共演
5 No Place of Safety 1997 - チャーリー・ピース巡査との共演

5 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト登場作品リスト

バーナード・バスタブル名義

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Dead, Mr. Mozart 1994 - 歴史ミステリ
2 Too Many Notes, Mr. Mozart 1995 - 歴史ミステリ

6 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Death of an Old Goat
(年老いたヤギの死)
1974 - バーナードのデビュー作
2 A Little Local Murder 1976 -
3 Death on the High C's 1977 -
4 Blood Brotherhood -
5 作家の妻の死 1979 HPB1413
6 雪どけの死体 1980 HPB1450
7 Mother's Boys
(米 Death of a Perfect Mother)
1981 -
8 Little Victims
(米 School for Murder)
1983 -
9 A Corpse in a Gilded Cage 1984 -
10 暗い夜の記憶 1985 現代教養文庫 ミステリ・ボックス3023
11 The Disposal of the Living
(米 Fete Fatale)
-
12 Political Suicide 1986
13 The Skeleton in the Grass 1987 -
14 A Scandal in Belgravia 1991 - ネロ・ウルフ賞
15 The Masters of the House 1994 -
16 Touched by the Dead
(A Murder in Mayfair)
1999 -
17 Unholy Dying 2000 -
18 The Mistress of Alderley 2002 -
19 A Cry from the Dark 2003 -
20 The Graveyard Position 2004 -
21 Dying Flames 2005 -
22 Last Post 2008 -
23 Stranger in the family 2010 -

【バーナード・バスタブル名義の長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 To Die Like a Gentleman 1993 -
2 Mansion and its Murder 1998 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Death of a Salesperson and Other Untimely Exits 1989 -
1 衣装箪笥の中の女 1987 EQ'88.3(62)
EQ'97.11
2 A Business Partnership 1989 -
3 Little Terror
小さな厄介者
1986 早川文庫「息子への手紙」('89)
4 Break Television
あなたとモーニングティー
1989 扶桑社ミステリー「スカーレット・レター」('93)
5 二人のジェレミー 1985 EQ'88.7(64)
6 Sisters 1987 -
7 The Injured Party 1986 -
8 Just Another Kidnap
もう一つの誘拐
1983 HMM'84.12
9 Blown Up
喰いてしやまん
1986 EQ'87.3
10 A Prosess of Rehabilitation 1989 -
11 Holy Living and Holy Dying -
12 The Oxford Way of Death
オクスフォード流の死に方
1987 HMM'92.10
13 Daylight Robbery
(Hardacre Hall)
1989 -
14 Happy Release -
15 Death of a Salesperson
セールスパースンの死
HMM'92.10
16 消した女 1986 光文社文庫「英米超短編ミステリー50選」('96)
EQ'87.5(57)
2 The Habit of Widowhood and Other Murderous Proclivities 1996 -
1 Cupid's Dart 1990 -
2 至上の悦楽 1991 EQ'91.11(84)
3 Post Mortem 1989 -
4 Soldier, From the Wars Returning 1992 -
5 My Son, My Son -
6 The Stuff of Nightmares
悪夢の素
1990 EQ'91.3
7 Balmorality 1993 -
8 Living with Jimmy 1990 -
9 If Looks Could Kill 1994 -
10 Happy Chirstmas 1986 -
11 Reader, I Strangled Him 1995 -
12 The Gentleman in the Lake
湖中の紳士
1994 扶桑社ミステリー「ロスト・コースト」('98)
13 Dog Television 1993 -
14 The Women at the Funeral 1995 -
15 Perfect Honeymoon 1987 -
16 Called to Jadgement 1996 -
17 離婚に勝る 1988 EQ'89.5(69)

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Breakfast Television
モーニング・ショウ
1987 EQ'87.11
2 転機 1989 光文社文庫「世界ベスト・ミステリー50選/下」('94)
EQ'92.3
3 The Nick of Time
きわどい時に
1990 EQ'96.9
4 An Exceptional Night
今夜は例外
EQ'90.7
5 ぶらさがっている男 HPB1578「13のダイヤモンド
HMM'91.1
6 こぞって楽しいひととき 早川文庫ミステリアス・プレス46「クリスティーに捧げる殺人物語」('92)
7 A Political Necessity
イヴの罠
1991 扶桑社ミステリー「サンタクロースにご用心」('91)
8 The Man in Her Life
彼女の人生に出てきた男
1992 EQ'97.9
9 捕らぬ狸の…… EQ'95.5(105)
10 闇のサミット 1993 EQ'93.9(95)

【ノンフィクション】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Imagery and Theme in the Novels of Dickens 1974 -
2 欺しの天才
─アガサ・クリスティ創作の秘密
1980 秀文インターナショナル('82) アガサ・クリスティーの評伝
3 A Short History of English Literature 1984 -
4 Emily Bronte 2000 -
5 A Bronte encyclopedia 2007 - Louise Barnard との合作

【エッセイ・評論その他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 A Talent to Disturb
眠りを妨げる才能
1983 HMM'87.6 ルース・レンデルの評伝
2 Slightly Mad, Mad World of Christiana Brand
ちょっと狂ったブランドの世界
HMM'87.12 クリスチアナ・ブランドの評伝

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