1960年代を代表するスパイ・シリーズ
1960年代を代表するアメリカのスパイ・アクションもののテレビドラマの主人公で、国際秘密諜報機関アンクル(U.N.C.L.E.)の特別捜査官。
アンクルとは法と秩序を守るために創設され、世界各国が加盟している国際秘密諜報機関で、"United Network Command for Low and Enforcemnt"の頭文字を取ってそう呼ばれています。本部はニューヨークの国連本部の近くの、入口がデル・フロリアという名前の男の経営する洋服店にカモフラージュされたとあるビルにあり、選び抜かれた腕利きのエージェントたちが世界の平和と秩序の維持のために日々悪の組織と戦い続けています。
そんなアンクルの作戦と実行を担当する第二課に所属し、コード番号は0011。明晰な頭脳と人並み外れた行動力の持ち主でルックスも抜群の優秀な捜査官ですが、女性には目がなく隙あらばすぐに口説き始めるプレイボーイなのが難点といえば難点。その執着ぶりには相棒のイリヤ・クリヤキンやソロの上司で彼に全幅の信頼を寄せるウェーバリー課長もただ呆れるばかりです。
しかし女性の扱いは非常に上手く、ダンディな語り口で口説いては捜査に協力させ、事件を見事に解決に導くこともしばしばあります。
この点放映開始当初から変更された点がいくつかあるため注意する必要があります。まずソロの所属するアンクルは当初様々な敵を相手に戦っていましたが、世界制覇と人類の支配を企む国際犯罪組織スラッシュ(T.H.R.U.S.H.)が登場すると、以降は宿命のライバルとしてもっぱらこの悪の組織と対決するようになります。
次にソロの相棒で金髪のロシア人イリヤ・クリアキンは開始当初は脇役に過ぎませんでしたが、ソロを凌ぐと言われたほど予想以上の人気が彼に集まったために次第に出番が増やされ、ほどなくソロとイリヤがコンビで活躍するシリーズに変わりました。
このイリヤ・クリアキんの予想外の人気が、優秀ではあるものの女に弱いソロと、冷静かつクールに任務を遂行していくイリヤの対照的な活躍が、作品をより一層奥行きの深いものにしていったといえます。
そして作風も当初はシリアスでハードなアクションを売りにしていましたが、次第に軽妙かつコミカルなやり取りが増やされるようになっていきます。しかしこのソロとイリヤのコンビの絶妙な会話や掛け合いがかえって作品の大きな魅力の一つとなり、世界中で愛されるほどの人気を集めたともいえるでしょう。
この点〈ナポレオン・ソロ〉シリーズの作品は1話60分のテレビシリーズが4シーズンで計105話あり、1964年4月から68年1月にかけてNBCで放映されました。そのうち第1シーズンの29話の映像は白黒ですが、それ以外はすべてカラーで撮影されています。
それ以外に本編のエピソードを再編集した劇場用映画が8本と1983年にアンコール・スペシャルが1本放映されています。日本でも1966年から68年まで日本テレビ系列で89作品が放映され、大変な人気を集めました。
また放映から30年以上経過した現在でも根強い人気を保っており、日本でも近年CSで再放送がなされたりもしています。
そして映像以外にもオリジナルの長編小説がマイクル・アヴァロンなど多数の作家によって書かれており、全部で23の長編と雑誌に掲載された作品が20以上あります。そして23の長編のほぼすべてが日本でも邦訳されていますが、こちらはすべて絶版となってしまっていてマニアの間ではコレクター・アイテムとなっています。
それ以外にソロと同じアンクルの女性エージェントのエイプリル・ダンサーを主人公に据えたスピンオフ作品「0022 アンクルの女」もあり、こちらは29作品が制作されています。
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | ナポレオン・ソロ1/ アンクルから来た男 |
1965 | HPB919 | マイクル・アヴァロン (Michael Avallone) |
2 | ナポレオン・ソロ2/ 最終作戦 |
HPB926 | H・ホイッティングトン (Harry Whittington) |
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3 | ナポレオン・ソロ3/ なぞの円盤 |
HPB934 | ジョン・オーラム (John Oram) |
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4 | ナポレオン・ソロ5/ 人類抹殺計画 |
HPB945 早川書房 世界ミステリ全集16('72) |
デイヴィッド・マクダニエル (David McDaniel) |
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5 | ナポレオン・ソロ6/ 気ちがい科学者 |
1966 | HPB959 | J・T・フィリフェント (John T. Phillifent) |
6 | ナポレオン・ソロ8/ ソロ対吸血鬼 |
HPB976 | デイヴィッド・マクダニエル (David McDaniel) |
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7 | ナポレオン・ソロ7/ 放射能キャラバン追跡 |
HPB963 | ピーター・レスリー (Peter Leslie) |
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8 | ナポレオン・ソロ9/ 恐怖の巨人衛星 |
1967 | HPB993 | デイヴィッド・マクダニエル (David McDaniel) |
9 | The Diving Dames Affair ナポレオン・ソロ アンクルから来た男 人工湖作戦 |
洋販出版 洋販ライブラリー | ピーター・レスリー (Peter Leslie) |
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10 | ナポレオン・ソロ11/ 世界木枯し作戦 |
HPB1005 | J・ハンター・ホーリー (J. Hunter Holly) |
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11 | ナポレオン・ソロ12/ 消えた怪飛行船 |
HPB1012 | トーマス・ストラットン (Thomas Stratton) |
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12 | ナポレオン・ソロ13/ 人間改造機 |
HPB1016 | トーマス・ストラットン (Thomas Stratton) |
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13 | ナポレオン・ソロ14/ 犯罪王レインボー |
HPB1038 | デイヴィッド・マクダニエル (David McDaniel) |
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14 | ナポレオン・ソロ15/ スラッシュ株式会社 (ナポレオン・ソロ スパイ大作戦) |
1968 | HPB1058 ポプラ社 世界名探偵シリーズ12('73)(ジュヴナイル) |
フレドリック・ディヴィズ (Fredric Davies) |
15 | ナポレオン・ソロ16/ コンピューター戦争 |
HPB1084 | デイヴィッド・マクダニエル (David McDaniel) |
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16 | こわれたサングラス事件 | 久保書店 Q-Tブックス('70) | ピーター・レスリー (Peter Leslie) |
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17 | The Hollow Crown Affair | 1969 | - | デイヴィッド・マクダニエル (David McDaniel) |
18 | 恐怖の逃亡作戦 | 1968 | 久保書店 Q-Tブックス('68) | ピーター・レスリー (Peter Leslie) |
19 | 悪魔のサイコロ事件 | 久保書店 Q-Tブックス('69) | ジョン・T・フィリフェント (John T. Phillifent) |
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20 | 秘密兵器事件 | 1967 | 久保書店 Q-Tブックス('68) | ジョン・T・フィリフェント (John T. Phillifent) |
21 | ナポレオン・ソロ アンクルから来た男 恒久平和作戦 | 洋販出版 洋販ライブラリー('67) | ジョエル・バーナード (Joel Bernard) |
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22 | ナポレオン・ソロ4/ にせ札偽造団 |
1966 | HPB941 | ジョン・オーラム (John Oram) |
23 | ナポレオン・ソロ10/ 空飛ぶスラッシュ |
1967 | HPB996 | ピーター・レスリー (Peter Leslie) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | ナポレオン・ソロ 恐怖の大作戦 (ハイ・ティーンを狙え!) |
1964 | 集英社 ジュニア版・世界の推理2(ジュヴナイル) HMM'66.7臨時増刊 |
ロバート・ハート・デイヴィス (Robert Hart Davis) |
2 | ナポレオン・ソロ対美女/続ナポレオン・ソロ対美女 | 1965 | HMM'66.7臨時増刊 | ロバート・ハート・デイヴィス (Robert Hart Davis) |
3 | The Unspeakable Affair | - | ||
4 | The World's End Affair | 1966 | - | |
5 | The Vanishing Act Affair | - | ||
6 | The Ghost Riders Affair | - | ||
7 | The Cat and Mouse Affair | - | ||
8 | The Brainwash Affair | - | ||
9 | The Moby Dick Affair | - | ||
10 | The THRUSH From THRUSH Affair | - | ||
11 | The Goliath Affair | - | ||
12 | The Light Kill Affair | 1967 | - | |
13 | The Deadly Dark Affair | - | ||
14 | The Hungry World Affair | - | ||
15 | The Synthetic Storm Affair | - | ||
16 | The Mind-Sweeper Affair | - | ||
17 | The Ugly Man Affair | - | ||
18 | The Electronic Frankenstein Affair | - | ||
19 | The Genghis Khan Affair | - | ||
20 | The Man From Yesterday Affair | - | ||
21 | The Mind Sweeper Affair | - | ||
22 | The Volcano Box Affair | - | ||
23 | The Pillars of Salt Affair | - | ||
24 | The Million Monsters Affair | 1968 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Calcutta Affair | 1965 | - | George Elrick |
2 | The Coin of El Diablo Affair | - | Walter Gibson | |
3 | The Affair of the Gunrunners' Gold | 1967 | - | Keith Brandon |
4 | The Affair of the Gentle Saboteur | 1966 | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | エイプリル・ダンサー1 アンクルから来た女 |
1966 | HPB980 | マイクル・アヴァロン (Michael Avallone) |
2 | エイプリル・ダンサー2 燃える女 |
HPB984 | マイクル・アヴァロン (Michael Avallone) |
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3 | The Golden Boats of Taradata Affair | 1967 | - | サイモン・ラッター (Simon Latter) |
4 | The Cornish Pixie Affair | - | ピーター・レスリー (Peter Leslie) |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Sheik of Araby Affair | 1966 | - | |
2 | The Velvet Voice Affair | 1967 | - | |
3 | The Burning Air Affair | - | ||
4 | The Deadly Drug Affair | - | ||
5 | The Mesmerizing Mist Affair | - | ||
6 | The Stolen Spaceman Affair | - | ||
7 | The Sinister Satellite Affair | - |
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | アンクルの女 エイプリル・ダンサー KSR6を追え | 1966 | 洋販出版('68) | サイモン・ラッター (Simon Latter) |
ジョン・ピール (John Peel) 著
No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
1 | The Man from Thrush | 1986 | - | |
2 | Take Me to Your Leader | - | ||
3 | The Girl from U.N.C.L.E. | 1987 | - |